200665日号

新・国家エネルギー戦略を策定
 総合エネ調・総合部会が5月29日に第5回の会合を開き、今後のエネルギー政策の中長期の基本方針となる「新・国家エネルギー戦略」の最終案をまとめた。戦略は、原油価格の高騰が中長期的に継続する見通しであること、地球環境問題の高まりや核不拡散問題など国際的な枠組みの変化などを背景に、エネルギーの安全保障を軸に新たな国家エネルギー戦略の構築が不可欠となったとして、@国民に信頼されるエネルギー安全保障の確立Aエネルギー問題と環境問題の一体的解決Bアジア・世界のエネルギー問題克服への積極的貢献の3つを達成すべき目標として定めた。また、戦略実施に際して、中長期にわたる軸のぶれない取り組みとそのための明確な数値目標の設定、世界をリードする技術力によるブレークスルー、官民の戦略的連携と政府一丸となった体制の強化の3点を留意事項として取り組むことを提言している。
 戦略の特徴は、軸のぶれない取り組みを行うため5項目について数値目標を掲げたこと。これによって、フォローアップのための検証作業を可能にするとともに、原因分析を行うことで以降の取り組みについての方向性を示しやすくした。数値目標として取り上げられているのは、@2030年までに更に30%以上のエネルギー利用効率の改善を果たす(省エネルギー目標)A石油依存度を40%を下回る水準にすることを目指すB運輸部門の石油依存度を80%程度とする(現状はほぼ100%)C現状で約3分の1を占める基幹電源である原子力発電の比率を発電電力量の30〜40%以上とするD原油の自主開発比率を40%程度とする−の5項目。戦略は、秋に予定されているエネルギー基本計画や需給見通しの策定などに反映される。


電力9社の新料金でそろう、7月から5社が値下げ
 7月1日からの電気料金引き下げを表明していた北海道、東北、北陸、中国、四国の電力5社は、5月31日までに新たな電気供給約款と託送供給約款を経済産業大臣に届け出た。電気料金(規制部門)の引き下げ率は平均で、北海道が2.85%(引き下げ後の平均単価は1kWhあたり20.81円)、東北が3.05%(同21.49円)、北陸が2.65%(同19.84円)、中国が2.51%(同20.79円)、四国が2。57%(同20.81円)となった。
 また託送料金の引き下げ率は平均で、北海道が特別高圧が0.62%(同1.60円)、高圧は1.80%(同4.36円)、東北が特別高圧1.05%(同1.88円)、高圧3.56%(同4.61円)、北陸が特別高圧1.02%(同1.94円)、高圧0.96%(同4.11円)、中国が特別高圧3.20%(同1.84円)、高圧6.60%(4.67円)、四国が特別高圧1.62%(同1.82円)、高圧5.14%(同4.61円)。東京、中部、関西、九州の4社はすでに4月から料金引き下げを実施しており、これで沖縄を除く電力9社の新料金が出そろった。
 今回の9社の新電気料金を見てみると、最大の引き下げ率となったのは東京の4.01%。他電力は2〜3%台だった。ただ、北陸は1kWhあたりの単価が19.84円、九州は19.54円と、低圧分野の電気料金としては初めて19円台に入った。一方、PPSなどが電力小売りの際、送電線使用料として支払う託送料金は、中国が特別高圧で3.20%、高圧で6.60%と大幅な引き下げを行い、他電力並みの料金水準とした。これによって、原油高で自家発電の運転を停止している管内の多くの自家発電需要家が、PPSや他電力からの購入を進めることにつながるのか、その動向が注目される。


新エネは再生可能エネルギーに限定、部会報告書で
 総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会が5月26日第18回の会合を開き、中間報告を取りまとめた。報告書は新エネルギーの枠組みを再生可能エネルギーに限定し、今後の普及拡大を図るほか、需要サイドの新エネルギーとして位置づけられていた天然ガスコージェネや燃料電池などを革新的エネルギー技術開発の支援枠を新たに設けて、新エネルギーの利用促進の観点から積極的に開発支援を行って行く方針を打ち出している。見直しに当たっては、地球環境問題への対応強化や石油価格の高騰などエネルギー政策を進める上で、新エネルギーがエネルギーの環境対策の先頭を切る意味合いを強めた。
 新たに設けられた革新的エネ技術開発枠は、「再生可能エネルギーの供給、エネルギー効率の飛躍的向上、エネルギー源の多様化に資する新規技術」を対象に、今後政策資源の重点投資を図ることとされ、技術開発と導入支援の両面で政策支援を継続する。天然ガスコージェネや燃料電池などの導入目標は維持する。また、報告書では、RPS法施行後の評価検討を行った小委員会の報告書を基に、新エネ起源の電力の使用義務量を09年度までの4年間上積み修正することや新エネルギー等の導入量の目安を長期エネルギー需給見通しの中で示すこと、今年度行う予定の14年度までの利用目標量の設定作業の中で水力と地熱の対象範囲についても再検討することなどを盛り込んでいる。

中国電力とJパワーが電力販売で共同プロジェクト
 中国電力と電源開発は卸電力販売を行う共同プロジェクト会社を設立すると発表した。プロジェクト会社は「瀬戸内パワー」で資本金は1億円。8月をめどに新会社を設立する。販売用供給力として中国電力から譲渡により自社電源を保有するが、自社電源が整うまでの間は中国電力と電源開発から電力を調達して卸電力取引所(JEPX)を通じて販売する。自社電源は1年間程度をかけて中国電力からの具体的な譲渡電源を詰める。JEPXでの販売実績などをみてPPSとの相対取引についても検討する。
 また、新会社は酸素吹石炭ガス化技術についても2社と共同研究を実施し、石炭を使った地球環境との親和性のあるクリーン燃料として、燃料電池との組み合わせによる発電効率の向上や、CO2の分離回収、水素製造、石油代替燃料製造など幅広い可能性を模索していく。

バイオディーゼルの規格を決定
 経済産業省は、6月1日、総合エネ調・石油分科会の燃料政策小委員会を開き、バイオディーゼル混合軽油の規格案を取りまとめた。ディーゼル燃料である軽油に廃食用油などのバイオ燃料を混合し軽油として販売するための規格基準として取りまとめたもので、バイオ燃料を脂肪酸メチルエステル(FAME)化した上で5%を上限に混合したものを軽油として流通販売させる。バイオ燃料は燃焼によるCO2がカウントされないため、CO2削減効果が期待できる。品質確保法の軽油規格の改正を行い、FAME混合軽油に関する規格を追加し、規格に適合したFAME混合軽油として品質の確保を図る。パブリックコメント後、規格案に基づいて奨励基準の改正等を行い、年度内の施行を目指す。
野村グループがグリーン電力証書を購入へ
 野村ホールディングスは、野村グループの環境に対する施策としてグリーン電力証書を購入すると発表した。年間590万kWh分のグリーン証書を購入し、野村證券本社の電力使用量の約50%と高輪研修センターの電力使用量のほぼ100%に相当する電力をグリーン電力化する。野村グループのCO2排出量の大部分は電力が占めており、従来は設備改修による省エネ機器への変更などで電力使用量の削減を進めていたが、今後はグリーン電力証書の購入も含めて大幅なCO2削減を目指す。
 野村グループは、京都議定書に基づく目標達成への貢献とともに国内での自然エネルギー事業者の更なる発展を支援することにより地球温暖化防止の取り組みに貢献したいとしている。グリーン電力証書は日本自然エネルギーから購入する。

04年度の温室効果ガス排出量は13億5500万トン、前年度比0.2%減
 環境省は5月25日、04年度の温室効果ガス排出量をまとめた。それによると2酸化炭素、メタン、代替フロンなどの総排出量は、2酸化炭素に換算して約13億5500万トンとなった。
 原子力発電所の設備利用率が向上したことなどにより、03年度に比べて0.2%(約300万トン)減少した。ただ、90年比では8.0%上回ったことになり、2010年前後までに国際公約した6%を加え、約14%削減するという厳しい現実に変わりはない。
 また、総排出量のほぼ9割を占めるエネルギー起源の2酸化炭素排出量は、03年度比0.1%減少し11億9300万トンとなったが、90年比では12.9%増加している。
 部門別にみると産業部門は0.1%増(90年比3.4%減)、運輸部門0.1%減(同20.3%増)、業務部門0.6%減(同37.9%増)、家庭部門0.1%増(同31.5%増)、発電所などのエネルギー転換部門0%(増減なし)(同17.4%増)。

その他の記事
・産総研と九州大学が組織と研究開発で連携
・中部電力が北米で発電投資
・カシオが高性能発電セルスタックを開発
・ENEOSがJR川崎火力3号機に天然ガス供給
・NEDOが燃料電池関連で3件を発表
・日中省エネフォーラムが開催
・中山峠風力発電のCO2削減実績を公表
・愛知県と中部電力がバイオ燃料化調査
・未利用エネやグリーンエネを活用(東京都水道局)
・NEW環境展に17万人
・公共建築協会が総会、新会長に照井氏
・野村グループが新エネコンファレンス
・太陽光システム共通技術開発8件採択
・NEFが7月に中小水力研修会
・7月にコージェネ基礎セミナー
・04年度のエネルギー需給実績まとめ(経産省)
・三菱重工がウクライナからGTコンバインドシステムを受注
・出光とコロナが家庭用PEFCを市場投入へ、発電効率は33%
・05年度の産機受注は6兆円台に
・RPS小委員会が報告書、義務量を上乗せ
・環境省がハロンでガイドライン
  etc.
     
シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線S
・新エネルギーのパラダイムシフトD
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空


エネ戦略推進のカギは分散型の活用に【発電論評】

 地球環境問題への適合とエネルギーセキュリティー。今般まとめられた新・国家エネルギー戦略の指し示す方向をまとめるとこういうことになるようだ。石油依存率の更なる低減と、エネルギーの効率利用、省エネルギー、また、新エネルギーの利用拡大と基幹電源としての原子力の活用、これらによって中長期のエネルギー戦略が描かれている。
 この中で、キーテクノロジーとなりそうなものは、新エネルギーではないだろうか。石油や天然ガスといった化石燃料をいかに環境負荷を低減させた形で利用するか。コージェネレーションをはじめとするエネルギーの高度で高効率利用技術を追求しながらバイオマス資源の活用など新エネルギーとの長所を生かしあった組み合わせや、排出課程でのCO2処理、資源化技術の開発、またエネルギーを無駄なく利用する相互融通システムともいうべき「面的利用」の視点なども重要になってくる。
 新エネルギーという用語は今般の見直しで、風力や太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーを指すことになったが、名前に”新”とはつくものの、最近では、江戸時代こそが循環型社会の理想といった極端な議論もみられるように、考えてみれば風も太陽も植物も大昔から地球上に存在している”旧”エネルギーだ。昔はエネルギーとして活用できなかった自然エネルギーが現代の技術によってエネルギー源として活用可能となったことで、あらためて”新エネルギー”になった。新エネルギーは概して不安定でエネルギー密度が低く、それ自体では安定的なエネルギー源としては利用しにくい。その利用のためには、他の石油や天然ガス、原子力などの従来型のシステムと組み合わせることで、広域的に安定的なエネルギーシステムとして利用できるようになる。こうすることで、エネルギー起源の環境負荷を段階的に減ずることができる。今般の戦略にはこうした新エネルギーの拡大とともにエネルギーの高度利用を追求する方向もしっかりと盛り込まれており、全体的には正しい方向が示されていると評価できる。
 戦略は、一方で、軸のぶれない中長期のエネルギー政策の展開の必要性を強く打ち出している。エネルギーに限ったことではないが、従来は3から5年程度の見通しや計画をもとに政策展開が行われることが一般的で、石油の価格水準などの短期的な環境変化に敏感に対応するあまり、結果的には方針が定まらず、息の長い取り組みには問題がみられた。
 環境エネルギーの時代が指向されている今こそ、どうすれば新エネルギーの開発利用を進めることができるのかといった視点からの技術開発が必要になる。軸のぶれない腰の据わった取り組みを求めたい。


 
 
 
 
ますます分散型発電の味方です
分散型発電新聞が創刊5年目を迎えました
本号で弊紙分散型発電新聞は創刊4周年を迎えました。本紙の創刊は電力自由化が進展する中で、経済的で高効率な発電手段として中小規模のディーゼル、ガスエンジンなどを利用した自家発電システムやエネルギーサービス事業などが市場形成を図る時期をとらえて、分散型エネルギーシステムの普及拡大に向けた情報の集約と発信を目指してものでした。創刊以来4年間、分散型エネルギー市場は、電力料金の数度にわたる引き下げと石油価格の高騰などによって市場環境が大きく変化する中で、エネルギー産業における環境対応、エネルギー源のさらなる多様化、新エネルギーの導入拡大など新たな課題を総合的に解決する上で、中核となるエネルギーシステムとして新たな役割が求められるようになったきております。

再生可能エネルギーの拡大と水素社会が展望される中で、必要なときに必要な場所で、必要なだけエネルギーを作り出す分散型システムの役割は、今後ますます重要性が増してくるといえます。引き続き本紙は、今後ますます活用の場が広がる分散型エネルギー関連の最新の課題や動向を、迅速・正確にお届けし、関係業界、読者とともに成長することを目指します。変わらぬご支援、ご愛読をお願い申し上げます。
分散型発電新聞