2006525日号

発電効率は46% JFEエンジが高効率大型ガスエンジンを開発
 JFEエンジニアリングは世界最高レベルとなる発電効率46%、NOX200ppm以下(O2=0%)を実現した大型ガスエンジン「E3G」を開発、7200kW級と9600kW級の2機種を商品化し、分散型発電や電源コージェネ向けに、06年度下期から本格的に営業活動を開始する。
 6000kW級の大型ガスエンジンはフィンランド・バルチラ社製や三菱重工のマッハ30Gが市場で先行。また、昨年秋には新潟原動機も5800kW機の開発を済ませている。一方、東京ガス子会社のエネルギーアドバンスが、国内で初めてバルチラ社の9000kW機を千葉・幕張の地域冷暖房施設に導入するなど、大型ガスエンジン市場は今後も拡大が見込まれる中、大容量化時代を迎え発電効率のさらなる向上を巡って各社間の競争も厳しくなる一方だ。
 このためJFEエンジは6000kW、9000kWそれぞれのクラスでいずれも1000kW程度容量をアップすることで差別化を図った。今後は営業開始に合わせ、鶴見事業所内にデモンストレーション用も兼ねたパイロット設備を建設、所内向けに電力供給を行いながら、一層の耐久性や信頼性の向上を図っていく。
 開発したガスエンジンはシリンダー径400mm、ストローク500mmで1気筒あたりの最大出力は625kW。64年の仏・SEMT社との技術提携によって製造してきた中速ディーゼルエンジン(PCエンジン)をベースに開発した。ミラーサイクル方式の適用に加えバルチラのエンジンと同様、A重油などのパイロット燃料を使わない予燃焼室火花点火方式を採用したことで、工場などの燃料転換を進めたいガス会社などに対しても、訴求力あるガスエンジンに仕上げている。


東ガスなど4社がSOFCで世界最高の発電効率を達成
 東京ガス、京セラ、リンナイ、ガスターの4社は2.5kW常圧タイプの固体酸化物型燃料電池(SOFC)を開発、直流端発電効率で56.1%(LHV)と世界最高効率を達成したと発表した。発電ユニットには1本のセラミック基板上に多数のセルを焼成し、各セルを基板上で直列に接続した低温(約750度C)作動横縞形セルスタックを搭載。これによって容易に高電圧が得られ、低電流運転が実現できることから高効率発電が可能となる。また製造時のセル積層工程を不要とし、安価な材料を利用できることで量産による低コスト化が期待できるという。
 今後は業務用市場やマンション共用部での使用などを念頭におき、インバーターや各補機類を合わせてパッケージ化することで、交流送電端発電効率50%(LHV)以上を目標とした数kW級の開発を進め、08年度の実用化を目指す。


10万立方m以上までガス自由化拡大で対応策まとまる
 ガス事業の自由化拡大のあり方について検討していた総合エネ調の都市熱エネルギー部会(部会長・植草益東京大学名誉教授)はガス政策小委員会とガス安全小委員会での検討結果を基に5月22日、報告書を取りまとめた。現在、年間使用量50万立方mまでの需要家が対象になっている小売り自由化の対象範囲が、来年度から10万立方m以上の需要家までに拡大されることになっている。都市熱部会では、拡大に当たっての基本的な制度改革の視点として、安定供給の確保、環境問題への対応、需要家利益の増大とガス産業の基盤強化、効率的なガス供給インフラの整備とその有効利用を掲げ、円滑な制度以降に向けて検討を行ってきた。
 具体的な課題として検討されたのは、@自由化範囲の担保方法A託生供給制度の充実・強化B供給義務のあり方の仕組みC新規の導管設置による利益阻害性の判断基準の4項目。報告書では、自由化範囲の担保については使用量未達の場合は従来どおり未達保証を契約の条件とすること、低圧の需要家については別途の託送約款を整備すること、また、同時同量制度の簡易化を図り、50万立方mまたは低圧需要家については事前に想定された計画量を実際量と見なすことなどが盛り込まれた。また、託送料金については、時間帯・季節、導管の供給能力改善効果、総供給量、距離と供給エリア、契約種(中断可能契約等)の条件を勘案した選択的供給約款メニューの導入を期待、行政によるフォローアップを求めている。
 供給義務のあり方については、拡大される対象需要家に対しても従来どおり一般ガス事業者に供給義務を課すほか、新規導管設置の判断基準については、電力会社などが持つ発電用導管や卸供給用導管から直接供給することが可能なものなどは認められる。10万立方mまでの拡大によってあらたに、病院や、ホテル、スーパー銭湯、スポーツ施設などの中規模の熱・空調用需要家が自由化の対象に加わる

ほぼ計画通りの機能を発揮と電気事業制度改革を評価
 総合エネ調・電気事業分科会の制度改革小委員会が5月22日、第9回の会合を開き、電力小売り自由化に伴う、制度改革の運用状況について検証した報告書をまとめた。報告書は効率化の観点からの電力小売市場と卸電力市場、安定供給の観点からの設備投資や系統運用などの評価、環境保全の観点からのCO2排出量や需要家のニーズ、パンケーキの廃止やインバランス料金制度、行為規制などの個別の制度改革についての評価、海外の電気事業制度改革の評価の5項目について自由化以後の制度改革の実施状況について需要家アンケートなどを行った結果を分析評価して取りまとめた。
 報告書は前回審議した骨子案を基にまとめられ、電気料金が業務用を中心に大幅に引き下げられたことを自由化の最大の成果と評価、個別の制度改革についても、PPSの連系線利用量が増大、卸電力取引所の取引量が目標量を上回っている、PPSのインバランス料金負担が減少している、送配電部門の公平性・透明性の問題が特に起きていないなどの点を上げ制度改革で期待した機能を概ね発揮していると評価している。

花王和歌山GTコージェネなどに優良コージェネ賞
 日本コージェネレーションセンターは5月19日、05年度の日本コージェネレーションセンター賞(優良コージェネ表彰)を決めた。同日には東京・大手町の経団連会館で表彰式を行い、会長賞、省エネルギー奨励賞など6件の導入事例が表彰された。
 表彰式では、会長賞に産業用部門で花王和歌山工場に導入された川崎重工業製のガスタービンコージェネシステムが、また民生用部門では東邦ガスらによる名古屋市の大同病院に導入された三菱重工業製ガスエンジンコージェネと富士電機システムズ製燃料電池コージェネを組み合わせたシステムが選ばれ、表彰された。
 花王和歌山工場が受賞したシステムは、6500kWの都市ガス仕様高効率ガスタービン2台で構成。ガスタービンの発電時に発生する高温の排ガスをボイラーの燃焼用に利用するなど省エネ性が高く、また蒸気の有効活用により総合効率87.3%の高効率を達成したことなどが評価された。そのほか省エネ奨励賞に、産業用でシーエナジーが手がけたシャープ亀山工場の新潟原動機製ガスエンジンコージェネが選ばれた。民生用部門の会長賞を受賞した大同病院の担当者は、ガスエンジンと燃料電池の複合システムが注目され、40近い企業が見学に来たということで「コージェネに対する関心の高さをうかがわせた」とあいさつした。
 優良コージェネ表彰は、既設システムの最近1年間の運転データを基に省エネ性や環境性などに優れたコージェネシステムを表彰する制度で、今回で4回目。

その他の記事
・18年度のRPS目標量決まる
・石油価格の影響中小企業調査
・北電と四電が託送料金引き下げ
・三菱重工、韓国から風力を初受注
・横浜市が地域エネ政策構想
・国交省の住宅・建築先導技術
・水素エネ会議が第3回会議
・愛知県がESCO事業者募集
・宮崎県がESCO基本方針
・島根県中央病院にESCO導入
・新エネ大賞募集
・太陽光フィールド調査募集
・三井造船がエタノールシミュレーター
・大ガスと京セラが家庭用SOFC
・4月末のRPS記録量と認定設備
・富士経済が新エネ市場予測
・石油製品市況
・幕張地冷が起工式
・地球環境小委が目標達成計画の進捗状況を調査
・環境省がエコ燃料の導入目標
・エネサーブ深尾氏が社長復帰
・環境省がCO2削減自主参加型で事業者決める
  etc.

<企画・特集>
・熱も電気もガスコージェネで
 =福祉プラザさくら川(東京都港区)=(老健施設の最新エネ供給システムを探る)

   
シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線R
・新エネルギーのパラダイムシフトC
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空


電力制度改革の評価点に疑問【発電論評】

 電力自由化の拡大など電力制度改革の方向が怪しくなっている。制度改革の成果を検証した小委員会が先日取りまとめた報告書では、小売り自由化開始以来、自由化部門の電力料金が平均で約18%低下し、内外価格差もほぼ解消したとして、電力制度改革の最大の成果として評価している。また、制度改革によって生まれた卸電力取引所や中立機関による系統運用についても、送配電部門の公平性・透明性を巡って特に大きな問題が生じていないとして制度改革により期待された機能がほぼ果たされているとほぼ全面的に肯定的な評価を与えている。一方で、自由化に伴い新規参入したPPSのシェアが未だに自由化部門全体で2%程度にとどまっていることや、電源確保に困っていることなどについては評価の対象となっていない。
 そもそも電力制度改革の目的は電力市場に市場原理を持ち込むことで、健全な市場形成を図るということであったはずだと思うのだが、報告書の評価点は小売り自由化を制度化したことによって電力の安定供給やセキュリティーに問題が生じなかったということに終始しており、なんだか問題がすり替えられたように感じられる。最も肝要な電力市場で適正な市場競争原理が働いているかどうかという点については、料金が下がったという一点だけが評価対象いうのには疑問が残る。
 この間、原油価格の高騰や地球環境問題への対応が喫緊の課題として顕在化してきている。それに対して、電力市場がどう対応していくのか注目されるところであるが、報告書は、電力会社による原子力や水力発電の推進に期待するというばかりで、それ以外については何ら具体的な言及もない。
 そうなった、最大の原因は、自由化導入時に具体的な数値目標が示されなかったことも大きな要因だと思われる。PPSのシェアが2%に過ぎないということは、制度設計時の思惑通りなのか、それとも低すぎるのか。自由化によって新規参入者が電力・エネルギー供給のどれぐらいの割合を獲得することが健全な競争市場であると判断できるのか、そういった判断基準がないことで、現状が評価できないという事態を招いている。制度は作ったが、その成果は常に検証され、問題点が抽出され、更なる改革が加えられるということにならなければ、制度改革とはいえないのではないか。期待された、電力会社間の供給エリアを越えた競争もほとんど皆無に近い。地球環境問題に貢献するとして利用拡大が期待される新エネルギーへの取り組みも遅々として進まない。こうした電力市場を巡って顕在化している課題に対して改めて検証し、更なる改革につなげることを望みたい。