2006515日号

ガスコージェネは革新的エネ技術枠 − 新エネ概念見直しで
 総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会の新エネルギー部会(部会長・柏木孝夫東京農工大学大学院教授)が5月11日に第17回の会合を開き、今後の新エネルギー政策の展開を示す報告書の骨子案について審議した。
 次回とりまとめを行う報告書の内容については、今後の新エネルギー政策の主な見直しの方向性として、新エネルギーを再生可能エネルギーに限定することや、新エネルギーの利用技術も含めた更なる導入促進の道筋の再構築、燃料電池などの技術開発の重点化、バイオマスエネルギーの再構築などを取り上げ、最近の新エネを巡る情勢変化への対応を示すことにしており、4月24日に開かれた前回の会合で、ほぼ合意を得た新エネルギーの概念整理の変更を前提として、今後の新エネ導入拡大に向けて政策支援のあり方や技術開発の内容などについてまとめている。
 新エネルギーの定義変更は、3月に開かれた前々回の部会で、事務局側より提案されたもので、新エネルギーを大規模水力や廃棄物発電などを除いた再生可能エネルギー限定し、従来の需要サイドの新エネとされていた天然ガスコージェネや燃料電池、クリーンエネルギー自動車などについては、革新的エネルギー技術開発という新たな支援枠を創設して、引き続きバックアップするというもの。前回の会合では、新エネの枠組みからはずれることになる「革新的エネルギー技術開発」の対象について改めて書面による提案が行われ、概ねが妥当として承認する意見が述べられたが、新エネルギーの導入拡大の観点から廃棄物発電などに積極的に取り組んできた鉄鋼など産業界からは廃プラなどの廃棄物利用を新エネの枠外とする今回の提案については強く反対する旨の意見が述べられていた。11日の会合では、廃プラ利用などについて新エネとは別枠で、引き続き推進していくという政策の位置づけを明確にすべきだという意見が改めて表明された。
 5月末に開催予定の次回の会合で、RPS小委員会の報告内容も含めて報告書案が取りまとめられる。
 【新エネルギーの見直しの基本的な考え方】
◇新エネルギー
 再生可能エネルギー(現行の供給サイドの新エネルギー+水力+地熱)から大規模水力発電と化石原料由来の廃棄物発電・燃料製造・熱利用を除いたものとする。
 <例> 中小規模水力発電 地熱発電 太陽光発電 風力発電 バイオマス発電(バイオマス由来の廃棄物発電を含む) 太陽熱利用 バイオマス熱利用(バイオマス由来廃棄物熱利用、黒液・廃材を含む) 雪氷熱利用 海水熱・河川熱その他の水熱利用 バイオマス燃料製造(バイオマス由来の廃棄物燃料製造を含む)
◇革新的エネルギー技術開発利用
 再生可能エネルギーの供給、エネルギー効率の飛躍的向上、エネルギー源の多様化に資する新規技術。今後の政策支援のあり方に応じてさらに、実用化段階にいたっておらず技術開発を推進すべき技術と実用化段階には至っているが経済面での制約から普及が進んでいないため導入支援を図るべき技術の2つを対象とする。
<例>▽再生可能エネルギーの普及に資する新規技術=太陽光発電(高効率のもの、新規材料を用いたもの)、太陽光発電・風力発電併設用蓄電池(キャパシタを含む)、セルロース系バイオマスからのエタノール製造技術、BTL製造技術、バイオマスのガス化発電▽エネルギー効率の飛躍的向上に資する新規技術=定置用燃料電池、ハイブリッド自動車、天然ガスコージェネレーション、ヒートポンプ、石油残渣ガス化技術(IGCC、IGFC等)、クリーンコール技術(石炭ガス化(IGCC、IGFC)等)
▽エネルギー源の多様化に資する新規技術=燃料電池自動車、電気自動車、プラグイン・ハイブリッド自動車、天然ガス自動車、ディーゼル代替LPガス自動車、水素自動車、高濃度バイオ燃料自動車(FFV等)、GTL製造技術、DME製造技術、非在来型化石燃料利用技術(メタンハイドレードの利用技術、オイルサンド等超重質油の効率的分解技術)
*2010年度の導入目標を設定しているクリーンエネルギー自動車、天然ガスコージェネレーション、燃料電池については引き続き導入目標を設定し、普及支援を図る。(10年度の導入目標クリーンエネルギー自動車233万台、天然ガスコージェネ498万kW、燃料電池220万kW)


中部電力がエネルギー事業部を設置 − ガス事業、分散型エネ事業などを一体化
 中部電力は、7月1日付でエネルギー事業部を設置する。これまで火力事業部が扱っていたガス事業と新規事業部が取り扱っていたLNG販売事業、分散型エネルギー事業の3事業を一体的に展開できる体制に改める。エネルギー市場で顧客のニーズが多様化し、電気だけでなくガスやLNG、分散型エネルギーに対する要望に迅速に対応できる体制とし、3事業の合計で20年度には450億円の売り上げを目標に事業構築を図る。
 新設するエネルギー事業部は約20人の組織で、ガス事業、LNG販売事業、分散型エネルギー事業のマネジメント業務を行う。中部電力の子会社でエネルギーサービス事業を行っているシーエナジーとの関係は従来通り。


制度改革評価委が報告書骨子まとめ、電気料金の低廉化を評価
 総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会・第8回制度改革評価委員会(委員長・金本良嗣東京大学大学院教授)が4月24日に開かれ、昨年4月から拡大実施された電気事業制度改革の評価について報告書案の骨子について検討した。検討された骨子案を元に、次回会合では報告書案を取りまとめる。電気事業制度改革は昨年4月から全高圧需要家までを対象に小売り自由化範囲が拡大されており、その成果を基に、来年度から一般家庭を含む全面自由化について、検討が開始されることになっている。
 骨子案では、平成7年度から段階的に拡大されてきた小売り自由化の成果について、自由化開始以来、電力料金が20%以上下落、自由化対象以外の規制分野についても料金値下げが反映されていることなどを自由化の最大の成果として評価、自由化によって新たに電気事業に参入したPPSのシェアが未だ2%程度と低いことについても、自家発などの潜在競争圧力によって電気料金の引き下げが行われ、全国的な料金格差も縮小したなどと一定の評価を与えている。
 今後の制度改革の検討事項としては@自由化の新なる進展によって電力会社が十分な予備力を放棄した場合のPPSも含めた対策A環境保全問題が電力事業者間競争に与える影響と電力事業のCO2削減対策に向けた取り組みB現在常時バックアップの依存比率が高いPPSの将来的な電源調達のあり方などを留意点として取り上げている。
 また、当面の措置事項としては、振替供給契約を接続供給と同様に、複数の発電所をまとめて1契約とすることができる振替インバランスの負担軽減や連係設備等の改修、連係線マージンの運用見直し、卸電力取引の週間商品の追加、適正取引のガイドラインなどをあげ、いずれも今年度中に措置されることしている。


協和エクシオがディーゼル用集塵システムを発売
 協和エクシオはPMなどの捕集効率が高く、耐熱性を向上させたディーゼルエンジン用の乾式排ガス集塵システムの販売を5月から開始したと発表した。ディーゼル発電設備の黒煙除去システムとして集塵機のフィルター部分にニューセラミックフィルターを採用して捕集効率と耐熱性を高め、さらにコストパフォーマンスも向上させた。PM2・5ミクロン以下の粒子も捕集可能で、900度Cの高温下でも使用できる。ディーゼル発電設備の起動時に多く含まれる排ガスの黒煙の除去に対応しており、低密度で目詰まりが少ないため長寿命でダストの払い落としも容易な構造となっている。非常用発電設備の定期的な負荷試験や常用発電設備向けの低コストの排ガス集塵システムとして、既設のディーゼル発電設備のフィルター部分の付け替え需要も視野に入れて売り込みを図る。
 また、オプションで、NOxやSOxの除去に対応したシステムの構築もできる。

水とアルミから水素 − 日立マクセル
 日立マクセルは、水とアルミニウムで発生させた水素を用いる燃料電池を開発したと発表した。この燃料電池で10〜100W級の燃料電池システムを実用化し、ノートPCの電源などの用途開発につなげていく方針。使用する燃料電池は個体高分子型で、この燃料電池に水とアルミニウムを反応させた水素を燃料として供給する。
 日立マクセルは、独自製法でアルミニウム微粒子化プロセス技術の開発に成功。アルミニウム微粒子に水を加えることで室温1グラムのアルミニウムから1.3リットルの、理論限界値に近い大量の水素発生が可能となった。また、燃料電池のキーコンポーネントであるMEA(膜−電極接合体)も独自に開発、磁気テープで培った分散・塗布技術を活用して室温で280mW/平方cmと世界最高レベルの出力密度を達成した。この出力密度はDMFC(ダイレクトメタノール燃料電池)の約5倍の出力密度で、モバイル機器に搭載されるMEAの面積を5分の1にコンパクト化できる。
 日立マクセルでは、10W級のモバイル電源の実証試験を実施済みで、アルミニウムカートリッジと水カートリッジを交換することでノートPCや非常用電源などを長時間稼働できることを確認している

その他の記事
・Fエスコが木炭事業で子会社を設立
・経団連がエネ戦略のあり方で提言
・今後の省エネルギー技術開発など見通し(省エネ部会)
・NEFの燃料電池大規模実証委託先決まる
・富士電機が中期経営計画を発表
・日本製紙白老工場に新エネボイラー
・中部電力がSMESの実証試験へ
・東京都が温暖化対策プラン
・大阪府、ESCO導入指針まとめる
・日建設計がシンクタンクを設立
・荏原が上下水道事業を分社化
・ガス3社の06年3月期決算は増収
・エネルギーソリューションなどでJPIがセミナー
・風況マップ委託先などNEDOが募集
・エネ工研が水素安全利用技術で公募
・NEDOが高効率エネシステム導入調査を募集
・週間石油製品市況
  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線Q
・新エネルギーのパラダイムシフトB
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電実務の栞

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空


洋上風力発電の可能性【分散型エネルギーの最前線】

 再生可能エネルギーの代表は風力発電だが、ヨーロッパで大型の洋上風力発電プロジェクトが進行し始めたと聞き、日本でも実用化ができないか関心をもっていた。細長く、中央を山脈が走っている日本列島では、平坦な部分が多い大陸での穏やかなものとは吹く風の性状が異なっているために、風況が良くて設置もやりやすいところは必ずしも多くない。地球温暖化への対応を厳しく迫られている日本としては、海岸線が長いために広く開けている海面を風力発電に利用することは、焦眉の課題といってもいいだろう。
 4月に海上技術安全研究所他が主催する洋上風力発電フォーラムがあったので出席して情報収集をしてきた。ここでまず納得したのは、いままで、何となく陸上に設置する従来型風力発電技術の延長として受け取っていた洋上風力発電は、陸上とは違った基本的技術課題が多いということだった。
 1基の容量が3千〜5千kW、さらには1万kWまでが想定され、陸上のものより一回りも二回りも大きくなるだけに、また、洋上で遭遇する陸上とは異なった環境条件にも耐えられなければならないために、材料、設計を始めとする基礎的な開発が必要で、陸上のものと想定される最大規模3千kWとの延長線上ではない要素も多そうだ。風車だけをとってみても、その重量は出力の1.5乗、強度は0.7乗に比例するため、大型化するとコストと強度の両方が厳しくなる。
 ◇塩害対策が最重要課題◇
 多少意外だったのは、海水に絶えず曝されることから当然予想される塩害に対する対応がまだ難しいということだった。発電設備の構成要素全てについて塩害に冒されないようにするのには未知のことも多いようだ。ヨーロッパの洋上発電設備も予想以上の塩害が発生しており、その解決も含めて経済性発揮に自信が持てるところに至っていないために、プロジェクトが停滞しているのが現状だという。
 陸から離れたところにあるだけに、発電機、制御関連も含めた全設備が、想定される運用期間全体を通じて高い信頼性を発揮する必要があるのは当然だろうが、海水に囲まれていることがこれほど難しい環境条件になるとは知らなかった。
 比較的浅い水域ではタワーを海底の基礎から建てることになるが、基礎から海水面までの長さだけ陸上のものに比べて長くなり、風車の回転振動や、風の挙動と海流の挙動の違いによって予想されるタワーの疲労への影響が複雑になるようだ。一方基礎までの深さには、最終的に経済性の問題から限度がある。日本の沿岸部の地形は、急激に深くなるところが多く、このような海上で風力発電をするには、浮体構造に風車を取り付ける方式が実用化されなければならない。
 現時点ではまだモデル実験でどのような浮体構造が適切か検討されている段階であるが、浮体構造を海底に係留固定するもののほかに、ヨットのようにセーリングしながら発電する浮体構造も構想されているのは面白い。
 ◇輸送コストが小さいことが利点◇
 洋上風力発電にはさらに大きな課題がある。陸地から設置場所が離れるにつれ、送電に必要な海底電線設置コストが急上昇し、陸揚げ地点でみた電力コストが競争力を失ってしまうということだ。この課題への対応は、洋上発電プラントに水の電気分解プラントを併設して水素を製造し、圧縮なり液化なりで貯蔵して陸まで運んで利用することで実現できる。海水の電気分解をすると塩素が発生するのが常識だが、直接水素を発生させる技術もあるらしい。
 いずれにしろ水素があれば、炭素成分と結合させてエタノールに変換することもできる。このような変換をすることによって、電気とは違った形のエネルギー供給を行うことが、変換損失も含めて経済的に成り立たなければ、日本海周辺で洋上発電を普及させることには限界があることになる。このエネルギー変換技術の開発も、実用化にはまだ時間がかかることは確かであるが、優先度の高い技術開発として位置づけることが必要だろう。
 洋上であるが故の課題を述べてきたが、洋上であるが故の利点もある。陸上に建設する風力発電の場合、規模が大きくなるにつれ羽根などを設置場所まで運ぶことが道路の制約で難しくなる。洋上設置の場合には、船で運ぶことが出来るためにその輸送コストは小さくなることが多い。ヨーロッパでは風車運搬専用の輸送船が設計されているそうだから、海洋国日本としてもその位の意気込みで洋上風力発電の普及に長期的な取り組みをしてほしいものだ。洋上であっても景観の問題も避けられないし、漁業権の扱いもどうなるか不確かだ。また、設置点を決めるための風況調査にも、大げさに考えれば宇宙衛星から波頭を定点観測するといった類の、陸上とは違った手法が必要だろう。
 陸上の風力発電でも受け入れに極めて低い上限枠を定めるほど貧弱な系統しかない日本で、洋上風力発電が盛んになればその電力の受け入れも問題となるが、普及が具体化する頃にはそのような制約を取り外せるような解決策が実現していることを期待している。
(山藤 泰 関西学院大学大学院客員教授)