2006415日号

防災兼用自家発電設備は1台でも設置可能に−消防用自家発の基準など改正施行
 消防用の非常電源の基準が4月から大きく変更された。自家発電設備については、始動から負荷投入までの所要時間が40秒を超えるものも使用できるようになる。規制緩和の関係で、マイクロガスタービンも非常電源として使用可能とする関連で、自家発の基準そのものに始動時間40秒を超えるものの取り扱いを盛り込むことになった。ただし、40秒を超えるものについては、つなぎの電源として蓄電池設備の併設が条件となる。また、常用電源を非常電源として使用する兼用機の場合、従来は複数台設置が必要だったものが1台でよくなる。また、常用負荷から非常用負荷の切り替えも運転が継続されることを前提に始動時間が40秒を超えるものも使用できる。
 また、燃料電池も非常電源に加えられ、新たに基準が示された。燃料電池については、始動時間は自家発と同じ40秒以内で、燃料供給についても自家発と同様の考え方で基準が準用されている。
 また、今回新たにマイクロガスタービンを自家発電設備に加えるに当たって、マイクロガスタービンはガスを圧縮して原動機に供給する自家発電設備という概念を追加して、その燃料の供給については「ガス圧縮器から原動機へガスが供給されるまでの間の運転に必要な容量の燃料を保有していることとする」という規定が設けれれた。
 燃料電池については、従来の非常電源として認められていた自家発、専用受電設備、蓄電池の3種類の非常用電源に第4番目の非常用電源として追加される格好。また、マイクロガスタービンは自家発電設備として非常用電源に追加される形となる。
 今回の改正によって例えば常用電源として使用されるガスコージェネは1台設置の場合でも非常用電源として使用できること、起動時間が40秒を超える設備でも常用使用されるもの(兼用機)については、蓄電池設備の併設も不要となるので、従来ガスコージェネを設置する場合に付置されていた非常用専用機(主にディーゼル発電設備)が必要なくなる場合が増えるものと思われ、ガスコージェネの導入する場合の一つの有利な材料になる。


大型ガスコージェネを今年度から新エネ支援対象枠外に
 資源エネルギー庁は、今年度の新エネルギー事業者支援制度の募集要領を発表し、天然ガスコージェネの支援削減や風力発電、雪氷熱利用などの支援拡大などの方針を明らかにした。新エネルギー事業者支援対策事業は、CO2削減などの地球環境問題への積極的な対応を図ることの一環として、新エネルギーの抜本的な導入支援を行うことを目的に平成9年度から実施されている。
 対象となる「新エネルギー」は、太陽光発電、風力発電、太陽熱利用、温度差エネルギー利用、天然ガスコージェネ、燃料電池、廃棄物発電、廃棄物燃料製造、廃棄物熱利用、バイオマス発電、バイオマス熱利用、バイオマス燃料製造、雪氷熱利用など。このうち06年度の支援対象の変更として天然ガスコージェネについては単機容量3千kW以上のものについては、「支援措置がなくても競争力がある」などの理由で支援対象から外されることになった。小規模なガスコージェネであっても1施設の合計で3千kWを超える場合は補助率が削減される。バイオマス燃料を利用する場合は優遇措置がある。
 その他の主な変更点は、雪氷熱の補助要件が緩和され、従来あった規模の制限がなくなったこと、また、風力発電で、日本の風況に合致した設計が行われたものなどには補助率の優遇措置がある。13日にNEDOと共同で、支援制度の変更点などについて説明会を実施した。


化石燃料を使用しない無公害エンジン開発へ − 東工大と三菱商事
 東工大と三菱商事が、化石燃料を使用しない無公害エンジンの実験機を開発したと発表した。新型エンジンは、「MAGICエンジン」と名付け、マグネシウムと水で燃焼させて動力を発生させる。実験機は東工大の矢部教授と生田特認教授らが東京・品川区の精密加工メーカーである小野電機製作所の協力で開発した。直径5cm、高さ13.5cmで、数十kWの熱出力が得られる。化石燃料を使用しない無公害型でCO2の排出もない。推力が可変でコージェネレーション、自動車、船舶などの新型エンジンとして期待できる。副産物として酸化マグネシウムが生成され、これを太陽光励起レーザーで分解してマグネシウムに戻し、繰り返し利用する。
 今後さらに研究開発を進め、3年後の委実用化を目指す。三菱商事と東工大は04年から組織的な連携を行い、第1号プロジェクトとして太陽高齢期レーザーを基軸とした研究プロジェクトを実施している。


ダイハツ滋賀工場に高効率GTコンバインドコージェネを納入 − 川崎重工業
 川崎重工業は、大阪ガスがダイハツ工業滋賀工場内で実施するオンサイトエネルギーサービス事業向けの高効率ガスタービン搭載の2万5千kWのコンバインドコージェネレーションシステムを納入した。
 納入したシステムは出力2万kW級のガスタービン「L20A」1基と排熱回収ボイラ1基、蒸気タービン1基で構成されている。04年10月にフルターンキーで受注していたもので、主要構成機器はすべて川崎重工製。L20Aは川崎重工の自社開発ガスタービンでは最大のもので、国内の納入実績は今回のものを含めて6基となった。

サハリン1プロジェクト実現へ 、議連の活動が活発化
 サハリンで生産される天然ガスを、パイプラインを使ってわが国に輸入する「サハリン1」プロジェクトの早期実現に向け、超党派の衆参議員で組織する国土幹線ガスパイプライン建設推進議員連盟(代表・鳩山邦男自民党衆議院議員)が本格的に活動を開始した。
 今年が日露国交回復50周年という記念の年にあたるとして、サハリン1を視野に入れた日露間エネルギー交渉開始を外務省などに働きかけていくほか、来年の通常国会への提出に向けガスパイプライン事業法などの立法化の検討に着手する。
 4月18日に開く議連の勉強会に在日ロシア大使館のガルージン公使を招き、パイプライン構想に対する見通しなどを語ってもらい、こうした活動に弾みをつける。
 サハリン1では日本列島をはさみ太平洋ルートと日本海ルートでそれぞれ海底パイプラインを建設することが想定されている。議連では当面、稚内市から福井県敦賀市までの日本海側沿岸部に、全長約1730kmのパイプラインを建設することを目指す。
 中国などでエネルギー需要が増加している。建設コスト、建設期間とも約半分で済む海底パイプラインの建設を急ぎ、LNG船輸送に比べて経済的といわれるパイプラインを民間資本で建設し、サハリン天然ガスを確保する。2010年度の一部完成を目指す。
 日本海ルートは、稚内を起点に苫小牧までを陸上で、そこから日本海沿岸部の海底に建設する。日本海経由とすることで新潟で既設ラインと接続し、首都圏や鹿島地区、仙台への供給が可能になるメリットがある。また、需要に合わせ北九州への延伸も想定している。敷設コストは陸上ルートの約6分の1の5千億円程度で済むという。
 こうした議連の動きに合わせて民間ベースでも、エネルギーやエンジニアリング関連企業を結集した「国際パイプライン研究会(仮称)」を今年秋に設立、この研究会を母体に07年中に資本金5億円程度の企画会社を立ち上げ、FS調査やビジネスモデルの作成などに取りかかる構想が浮上してきている。同研究会には新日本製鉄、石油資源開発、大阪ガスといった企業が参加する模様だ。

建築物、下水道などのエネルギー対策も − 国土交通白書を発表
 国土交通省は11日、05年度の国土交通白書を発表した。「真の安全・安 心大国をめざして」をテ−マに今後の対応策などを整理しており、住宅・建築物、下水道の対策などの取り組みをあげている。
 ▽住宅・建築物の省エネルギ−の性能の向上=省エネ法を改正し、一定規模以上の建築物の新築・増改築時に加えて、大規模改修等の際にも省エネ措置の届出を義務付けたほか建築物の整備、既存建築物の設備更新・改修に対する日本政策投資銀行の低利融資制度等の支援措置を講じる。建築物の品質向上と環境負荷の低減を両立するため、建築物を総合的に評価する建築物総合環境性能評価システム(CASBEE)の開発・普及を推進 している。
 ▽環境共生住宅の普及促進=ゴミ処理システムや太陽光発電等の自然・未利用エネルギ−活用システム、コ−ジェネレ−ションシステムなど環境への負荷を低減するモデル性の高い住宅市街地の整備を推進する環境共生施設に対し補助を行っており、平成17年度は10地区で実施した。
 ▽都市整備の地球温暖化対策=環境負荷の少ない都市の実現のため、エネルギ−効率的な利用や未利用エネルギ等の積極的な活用を図っており、平成17年度では下水道利用など、都市部での未利用エネルギ−活用豊作について検討を行なった。
 ▽下水道の温暖化対策=議定書目標達成計画に示されている下水汚泥焼却施設の燃焼の高度化によるCO2の削減等を推進している。また、下水汚泥の燃料化やバイオガスの有効利用、下水の温度差エネルギ−の利用等の取り組みを推進している。

その他の記事
・東京都が再生利用エネ拡大で戦略
・トラクタエンジンで発電 − 北越工業が開発
・川重がバイオマス発電を納入
・大阪ガスがマレーシアから天然ガス購入を拡大
・宇部興産が新型電池を開発
・三井物産がブラジルのエタノールで権益
・石油資源開発が海底パイプライン建設
・エネ安全保障の方向などを中間報告(総合エネ調総合部会)
・電力自由化と原子力で総合エネ調小委員会が議論
・第3回水素エネ会議を5月に開催
・石油連盟が環境対応型ボイラ補助で説明会を開催
・バイオマス燃料調査委託先を募集(NEDO)
・大規模太陽光で説明会を開催(NEDO)
・水素や新エネ導入計画などでJPIセミナー
・医療福祉建築賞決まる
・都東部病院ESCO
・栃木県立がんCESCO、エネアドへ
・横浜市3施設にESCO
・札幌医大と道警本部のESCO
・中央合同庁舎4号館ESCO
・分散型発電へのエールB(寄稿)
・自由化部門の電気料金推移その3
  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線
・新エネルギーのパラダイムシフト(新連載)
・分散型発電実務の話題
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空


兼用機の活用促進と非常電源の信頼性【発電論評】

 消防用の非常電源の基準が改正されて、常用兼用機が1台でよいことになった。基準の改正は規制緩和要望に端を発するもので、マイクロガスタービンの非常電源使用を認めるための基準改正や、燃料電池を非常電源として使用するための基準作りと合わせて、この4月から新基準の運用が始まっている。
 常用兼用機というのは、スプリンクラーや消火栓などの消防用設備の非常電源として設置される自家発電設備を、コージェネレーション設備など常用電源を利用してもよいというもので、今から12年程前に制度化された。また同時に燃料についても、都市ガスなどの導管供給も一定の安全基準を満たすことを条件に認められ、ガスコージェネの非常用電源としての活用が図られるところとなっていた。しかし、この常用兼用機は、非常時の防災用負荷設備への電源確保の観点から、2台以上の複数台の設置が求められていたため、コストメリットが得られにくいことから、非常用専用機とコージェネ設備の併設例が多く残り、必ずしもガスコージェネなどの普及にとっては大きなメリットにはなりにくかった。
 制度発足後10年以上を経て、兼用機の単独設置が認められたということは、ガスコージェネを中心とした常用電源の電力供給設備として信頼性が極めて良好であるということが規制当局に認められたということに他ならない。非常用電源として設置される自家発は常用兼用機以外のものは、通常使用されることはなく、その機能の維持管理に設置者側が苦労しているという声が以前から指摘されている。駐車場に数年間も止めたままの自動車を常にメンテナンスを欠かさずいつでも使えるように管理しておくというのと似ている。
 兼用機の場合はいつもは、常用電源として運転され、施設内に電力や熱を供給するという重要な役割を果たしている。このため、メンテナンス面でも日常的、計画的に実施されており、設備機能は常に維持されている。こうした供給信頼性の高い常用電源を非常用電源として利用するということは非常用電源の信頼性を高めるという観点からも効果があるという指摘は当時からあったが、10年にわたる関係者の信頼性確保の努力がようやく実を結んだということになる。
 ともあれ、常用自家発、とりわけコージェネの普及にとっては「1台設置」は朗報である。併設されていた非常用専用機が不要となるだけでもコストの低減につながり、管理面からも負担が軽減されるという意味でも朗報である。この措置が、非常用電源の常用化を加速させ、それによってさらに非常用電源の信頼性の向上につながるという市場の「循環」に期待したい