2006年325日号

新・国家エネルギー戦略を中間とりまとめ
 経済産業省は、3月22日、総合エネルギー調査会・総合部会(部会長・黒田昌裕内閣府社会総合研究所所長)の第2回の会合を開き、2030年までの向こう25年間を見通した新・国家エネルギー戦略の中間とりまとめ案の審議を行った。新戦略は、今年、見直し改訂が予定されているエネルギー基本計画のとりまとめに当たって中長期の日本のエネルギー政策の基本方針をを戦略としてとりまとめることを目標としている。総合部会で戦略案骨子を示した後、各担当部会で個別テーマについて検討し、5月には最終案をとりまとめる方針。
 同日示された中間とりまとめ案では、戦略の骨子として安全保障と地球環境問題など多様化するリスクに対応し、国内における強靱なエネルギー需給構造の実現を第一の課題として掲げ、同時に危機を予防する観点から対外関係、国際貢献の強化などを目指すこと、そのための戦略として省エネルギー目標、石油依存度低減目標、運輸部門における石油依存度低減目標、原子力発電目標、海外での資源開発目標の5項目について数値目標を掲げ、具体的な検証を行いながら目標達成を目指す体制とする。具体的には、2030年までに@さらに30%の効率改善(省エネ)を目指すA石油依存度を40%を下回る水準に引き下げるB運輸部門の石油依存度を80%程度へ引き下げるC30年以降においても原子力発電の比率を30〜40%程度、もしくはそれ以上にするD海外での資源開発を、40%程度にまで拡大を目指す−。
 項目ごとの具体的な目標については、総合エネ調の各部会で検討を行う。原油高が長期化する中で、脱石油、CO2削減とエネルギーセキュリティーの確保という困難な課題を克服するため、原子力を中核に据え、再生可能なバイオマスや風力などの新エネルギーの導入拡大とエネルギーの更なる効率利用を目指すということが新戦略の骨子として掲げられることになる。


マイエナジーの解散決まる−07年上期中、東電が判断
 東京電力は3月22日、子会社でオンサイト発電事業を手がけるマイエナジー(小川 久社長)を07年度上期中に解散すると発表した。最近の原油高の影響で、ディーゼル自家発電を主力に据えた事業運営が厳しくなってきたことに加え、東電がグループ一体となってエネルギーソリューション体制を再構築する中、オンサイト発電に特化したマイエナジーの役割は終えたと判断した。
 現在、マイエナジーが抱えている145件(12万7千kW)の顧客については協議の上、一部は解約するが、残る顧客については07年4月以降、東電100%子会社の東電工業が引き継ぐ。解約に伴う費用については全額、東電が負担する。マイエナジーではすでに解約に向けた協議を始めており今期、東電単独で約120億円、連結で約80億円の損失を見込んでいる。
 マイエナジーは00年3月、東電が東京ガス、新日本石油、三菱商事らとともに当時、オンサイト発電事業で急速に事業を拡大してきたエネサーブに対抗する目的で設立。以後、電力各社がオンサイト発電子会社を設立する先がけとなった。他の電力系子会社が電力本体の別働隊として事業展開を図る中、マイエナジーは「対東電」も視野に入れ、分散型発電市場の拡大に取り組んできたが、度重なる電力料金の引き下げで経営環境は悪化。さらに最近の原油高で矢尽きた。昨年3月には東電が100%子会社化したことで、一部では今回の事態がささやかれていた。


新エネ導入を積極的にが59% −エネルギー世論調査でわかる
 経済産業省は、内閣府が昨年12月15日から10日間にわたり実施した「エネルギーに関する世論調査」の結果を公表した。エネルギーに関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考にするため行ったもので、省エネ・新エネや原子力に対する意識・関心などを全国20歳以上の国民3千人に聞いた。調査結果の主な概要は次の通り。
●エネルギー政策の基本方針を国民は支持
 エネルギー政策の重視すべき視点として「安定供給」(39.2%)と「環境」(40.9%)が同割合で、「値段」(18.6%)はそれらの半分程度。エネルギー政策の基本方針について、国民の支持は得られていると考えられる。
●新エネルギーの導入に積極的。利用にはさらなるコストダウンが必要
 エネルギー政策の最優先課題として「新エネルギーの導入の推進」(59.1%)を回答した人が最も多かった。また、風力発電、太陽光発電を知っている人の割合が、前回(99年2月)の調査では約6割だったが、今回では約8割強に上がるなど新エネルギーに対する知識が大きく向上している。
 太陽光発電の利用条件として「耐用年数までに毎年の電気代の削減で回収できる程度なら購入したい」(37.8%)との意見が最も多く、さらなるコストダウンが必要。
●省エネルギーに対して高い関心。ただし行動化が課題
 省エネの今後の進め方については「本格的な省エネ活動に賛成」が約57%、「不十分であっても取り組みを進めるべき」が約35% と、省エネに対する国民の関心は高い。
 ただ、「テレビやラジオを観る時間を減らしたり、こまめに消す」という日常生活での省エネ行動に関しては前回の62.4%から17.7%と大幅に下がった項目もあり、省エネの行動化に課題があるとしている。


電力託送制度運用実態などを検証 −制度改革小委
 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の制度改革評価小委員会(委員長・金本良嗣東大大学院教授)は3月23日、第7回の会合を開き、託送制度における振替供給料金制度(パンケーキ)の廃止と、インバランス料金制度の変更について検証を行った。パンケーキについては昨年4月の廃止以降、PPSの連系線利用料がPPSの販売電力量の増加率以上の率で増加し、広域流通が活性化している。また、日本卸電力取引所のスポット市場においても区域をまたいだ取引が活発に行われている点を評価、制度改革の実効が上がっていると結論づけた。
 PPSが30分同時同量を満たせなかった場合に支払うインバランス料金制度については、PPSのインバランス購入電力量は増えているものの、支払額は制度変更によって減少していることなどを評価した。一方、オブザーバーとして出席した日本卸電力取引所からは、企業の自家発電設備の定期点検時向けに、週間単位の先物取引市場を今年7月に開設する考えが示された。

太陽光住宅は電気代が約4分の1 −積水化学が調査
 積水化学工業は太陽光発電システムを採用した住宅の実態調査結果を発表した。03年10月からの1年間に、同システムを搭載した「セキスイハイム」に入居した3367世帯が対象。調査時期は05年10〜11月。
 それによると、調査世帯の年間の電気代は買電が12万2千円、売電が7万円となり、差し引きで5万2千円となったことが分かった。2年前の調査と比べて、電気代はさらに約2万円減少しており、また、一般的な戸建て住宅の年間平均電気代(21万9千円)と比べると、16万7千円の差がついた。こうした結果について同研究所は、搭載するシステムの容量拡大、省エネ機器の高性能化、入居者の省エネ意識の高まりを挙げている。
 一方、セキスイハイムが「光熱費ゼロ住宅」の一つの基準としている4.5kW以上のシステムを搭載した664世帯では、36.4%の家庭で電気代が実際にゼロ以下となり、平均してみても年間の電気代は2万円にすぎないことが分かった。
 調査では「冷暖房時の快適性・省エネ性どちらを優先するか」についても聞いており、快適派43%、省エネ派35%と快適派が上回った。また省エネ実践度については、夏は「窓を開けたり扇風機を活用して冷房をつけない」といった行動をとる家庭が多いが、冬は「快適性を損ないたくない」と答えた家庭が多く、省エネ実践度は低かった。

その他の記事
・クレジット取得制度を市場メカニズム検討委で議論
・横浜市、657施設に省エネ設備導入
・三井造船がバイオマスガス化発電システム開発
・三井造船がゴミ油脂をバイオマス燃料化
・中国で最大のCDM事業が国連で正式承認
・科学技術基本計画案まとまる
・東芝三菱、国内最速の瞬低補償装置
・川重が珠洲市のバイオマス施設を受注
・使用合理化支援、3月31日から(NEDO)
・NEDOが風力フィールドテスト募集
・4月にNEDOがエネ使用戦略と太陽熱で説明会
・環境対応型ボイラー導入事業募集(石油連盟)
・神戸新中央病院PFI
・大阪府立消防校PFI
・京都市伏見区庁舎PFI
・公務員宿舎城北PFI
・稲城市健康プラザPFI
・富士見こども施設PFI
・都東部病院ESCO
・藤沢市ESCO導入
・東京の容積率で日建連が4次提言
・11月にエコビルド2006開催へ
・オマーンLNG、東電と商事が共同購入
・2月末のRPS設備認定状況
・自由化部門の料金推移そのA
・1月の総需要電力
・カミンズなど追加 −排ガス対策エンジン
  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線M
・今を考える「企業の不祥事は何故起こるのか」G
・分散型発電へのエール@(寄稿)
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空

エネルギー新戦略と分散型発電【発電論評】

 新・国家エネルギー戦略の骨格が示された。原子力を中心に、石油依存度の低減を目指す。新エネの拡大と天然ガスなどエネルギー源の多様化、分散化を図り、省エネルギーとエネルギーの利用効率の更なる工場を目指す。新戦略の骨子をまとめるとこのようなことになる。高騰する原油価格市場は、長期化が予想される。エネルギーの安定確保と、地球温暖化対策、少子高齢化社会の到来による市場の縮減など、新しい、様々な社会的要因の一つ一つがエネルギー問題と連関する中で、2030年を視野に入れた長期のエネルギー戦略を描くということで検討が進められている。
 それまでには燃料電池はものになっているのだろうか、カーボンフリーが実現した水素エネルギーの時代は到来しているのだろうか。2030年を目指すのならそのあたりの解も必要になるのではないか。現在もてはやされている、新エネルギーもその時代には「新」がとれて、普通のエネルギーシステムになっているかもしれない。
 水素から電気を作り、電気で水素を作る。原子力も風力も太陽光もバイオマスも水力も電気と水素を作る。そんな時代は25年先にはまだ来ないというのだろうか。不確実なものは戦略には盛り込めないというのなら、エネルギーの未来は、いつどこで誰が描き、語ってくれることになるのか。
 東京電力の子会社でオンサイトエネルギーサービス事業を展開していたマイエナジーが事業を精算し、解散することを決めた。マイエナジーは、中、小型のディーゼル発電によるオンサイト電源の出現で、電力会社の優良顧客である業務用ユーザーが自家発オンサイトに雪崩を打って切り替えた時代に、電力会社の顧客囲い込みの1手段としてオンサイト事業をメニュー化することを目的に設立された。時代のニーズに合致して、実績を伸ばし、東京電力が先頭を切ったのを真似て、他の電力会社も次々と後を追った。
 原油価格の高騰によるコストアップと、自由化の進展による電気料金の引き下げという環境変化がダブルパンチとなって、燃料費の固定化というアイテムを最後まで持ち得なかった電力系オンサイト事業はそのビジネスモデルを貫徹できなくなったのだという。確かにそうした側面はあるが、だからといってオンサイトビジネスが限界を迎えたわけではない。省エネとCO2削減を余儀なくされる時代に、需要家サイドに立って省エネや環境対策のアドバイスができるオンサイト事業者の出番と役割はこれからますます必要な時代を迎えるといえるからである。
 安い石油を使って安価なエネルギーサービスをする時代から、環境負荷の少ない循環型の未来志向のエネルギーサービス事業をどう構築していくのか、それが問われている。