2006年35日号

大阪ガスが「発電機能付きGHP」を4月から新発売
 大阪ガスは消費電力がゼロとなり、さらに建物内に電力を供給できる発電機能付き業務用ガスエンジンヒートポンプエアコン(GHP)を、業界で初めて開発した。
 これまで大ガスは、1kWの発電機を搭載したGHP「ハイパワーマルチ」を03年4月から市場投入していたが今回、搭載する発電機を4kWに拡大した。「ハイパワーエクセル」(20馬力)の名称で4月から発売する。三洋電機との共同開発。
 従来機では冷暖房時のガスエンジンの余力で1kWの発電を行い、その電力を冷却ファンと冷却水ポンプに供給、室外機で使用する電力を削減していた。新型機は4kWの発電機を搭載したことで、室外機の電力をすべてまかなうほか、系統連系することで「余剰電力」を建物内に電力を供給できる。
 このためガス使用量は若干増加するものの、購入電力量や契約電力の削減効果が見込め、従来のGHPに比べ約20%のランニングコストが低減できる。これまで給湯需要が少なくガスコージェネが導入できなかった事務所ビルや商業施設などに提案し、06年度500台の販売を目指す。


05年度上期の自由化電気料金は特高部門で値下がり
 経済産業省は、自由化分野の需要家が05年度上期(4〜9月)中に、電力会社やPPSから購入した電力の価格調査結果を公表した。特別高圧部門(2千kW以上)での1kW時あたりの平均購入単価は、全国平均で産業用が04年度上期に比べ3.41%下がって9.64円、業務用が5.75%下がって12.13円だった。
 自由化された直後の00年度上期には産業用11.04円、業務用17.36円だった平均単価は、05年1月以降に行われた電力各社の料金引き下げ(東京電力は04年10月)もあって、特に業務用を中心に引き続き下落傾向にある。高圧部門では、昨年4月から50kW以上にまで自由化範囲が拡大されたため単純には比較できないものの、産業用は04年度上期の1kW時あたり12.70円が12.84円へと値上がり、業務用は14.51円が14.13円へと値下がるという結果となっている。
 地区別で見ると、特高部門の産業用で最も値下がり率の大きかったのが沖縄地区で、17.39%下がって単価は10.26円となった。また九州地区でも8.59%下がった。業務用で値下がり率の大きかったのは九州地区の12.76%。業務用は自由化以降、大幅な下落を続けており四国地区や関東地区を除けば、今期もほとんどの地区で5〜8%台の値下がりを続けている。高圧産業用で最も単価の高かったのは関東地区の13.50円。最も安かったのは北陸地区の11.88円。業務用では東北地区が14.89円と高く、北陸地区が13.09円と安い。


関西電力と九州電力も4月からの料金値下げを届け出
 関西電力は2月27日、九州電力は28日、それぞれ4月1日から実施する電気料金の引き下げを経済産業大臣に届け出た。規制部門(契約電力50kW未満)の引き下げ率は、平均で関電が2.91%となり、平均単価は1kW時あたり20.02円(現行20.62円)。九電が3.71%引き下げて平均単価は19.54円(同20.29円)となる。この結果、標準的な家庭での月の負担額は関電で205円、九電で222円軽減される。
 両社の引き下げは関電が05年4月に平均で4.53%引き下げて以来、九電も05年1月に5.46%引き下げて以来1年3カ月振り。両社とも95年の電気事業法改正以降、これで6度目の引き下げ。東京電力と中部電力が、すでに電気料金引き下げの届け出を経産相に済ませており、これで4月1日からの料金引き下げを表明していた電力4社の新料金が出そろった。
 一方、自由化部門(契約電力50kW以上)でも両社は標準メニューのほとんどで基本料金、電力量料金を引き下げたほか、需要家が電力会社、PPSいずれとも契約できない時に電力会社が電気を供給する最終保障料金も引き下げている。


四国電力と北陸電力も7月からの値下げを表明
 四国電力と北陸電力の2社は28日、今年7月をメドに電気料金の引き下げを行うことを表明した。06年度の収支見通しに加え燃料価格状況、競合他社の動向などを見極めたうえで引き下げ幅を決定する。

NEDOが天然ガスハイドレート利用開発へ
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、06年度からガスパイプラインが敷設されていない地域での天然ガス利用を促進するため、「天然ガスハイドレート(NGH)」を利用した天然ガス供給システムの開発に乗り出す。約170倍のガスを包蔵するNGHを使って、地方都市の中小規模需要(50立方m/時以下)や簡易ガス事業者に天然ガスを供給、これによって、パイプラインやローリー車による天然ガス供給が困難な地域でのガスコージェネの普及や工場などの燃料転換を後押しする。
 プロジェクト名は「高効率天然ガスハイドレート製造利用システム技術実証研究」。まず06年度から3年間かけて基本的な技術を実証。13年の事業化を想定している。 
 06年度から始める実証研究では、都市ガス会社の保有するLNG基地で、LNG未利用冷熱を活用したNGH製造設備のパイロットプラント(5〜10トン/日)を建設、長期間連続運転が可能なことを実証する。併せて製造されたNGHの輸送・再ガス化装置の開発も行っていく。3年間の総事業費は15億円。
 NGHは水分子の作るクラスター(かご構造)の中に天然ガスの成分のメタン、エタン、プロパンなどを取り込んだ包接水和物。人工的に製造する。マイナス20度Cの環境下で約170倍のガスを包蔵するため、LNGより貯蔵が容易で、単位エネルギーあたりの輸送量もLNGより多くなる。NEDOでは実証研究を民間企業などに委託することにしており3月14日、日比谷オフィス(内幸町)で公募説明会を開く。

06年度燃料電池大規模実証事業、3月中旬から募集開始
 新エネルギー財団は06年度に予定している定置用燃料電池の大規模実証事業の概要について公表した。定置用燃料電池の大規模実証試験は、将来の燃料電池の普及につなげるための初期需要の創設を目的に、05年度から07年度までの3年間実施されるもので、実証データの研究開発へのフィードバックと大量生産への道筋をつけ、08年度にシステム製造価格を120万円台にすることを目標に掲げている。
 06年度は480台が実証試験に参加しており、新エネ財団では06年度の募集を3月中旬には開始する予定。06年度の事業予算は前年度の25億円を上回る33億円が計上されており、1台あたり450万円を上限とする導入補助を行う計画。募集開始に当たって、3月14日に説明会を開催する。

その他の記事
・新エネと省エネ企画を募集
・KDDIがネットワークセンターに太陽光を導入
・NEDOが省エネ促進4事業3月下旬に募集開始
・LPG国際セミナー2006を開催
・泉北発電所がアセス確定通知
・東邦ガス、ガス導管内部検査を容易に
・江東区、3施設に自然エネ活用
・扇島パワー、着工へ
・日建連がCO2削減調査
・渥美風力発電所が着工
・西宮市福祉CのESCO
・竹中工務店の機構改革
・和歌山県、新エネ導入へ
・日設連が優良省エネ機器顕彰式
・岡山・備前市でみどりのエネルギーファンド募集
・制度改革小委でヒアリング
・山口シグマパワー建設中止へ
・NEFが燃料電池実証事業報告会を開催
・トヨタと日野が燃料電池バスを営業運行に提供
  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線
・今を考える「企業の不祥事は何故起こるのか」
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空

手のひらにのる超マイクロガスタービン【分散型エネルギーの最前線】

 1カ月ほど前、アムステルダムでマイクロCHP(コンバインド・ヒート&パワー。欧州で称するコージェネのこと)関連のフォーラムがあり、その発表資料が入手できた。その中に、発電容量が600Wから3kWまで何段階かあり、発電効率も10%から20%までの幅をもつという極めて小型の超マイクロ・ガスタービンが紹介されていた。
  この開発企業はオランダのMTT(マイクロタービン・テクノロジー)社(URL:http://www.mtt-eu.com)である。写真で示されたカットモデルが、手のひらに乗る大きさであることには驚かされた。同社によると、これは従来のタービンの設計概念を基本的に変えたものだそうで、コンデンシングボイラーや家庭向け暖房用ボイラーに取り付けて、従来のバーナーの機能も果たすガスタービン発電機用として開発されている。
 コンプレッサー、それに直結する溝状のコンバスター、およびタービンの3つしか構成部品がなく、そのいずれも一体構造になっていて、直線軸で連結されている。そのため、製造コストとメンテナンスコストは低くなるという。

「小型コージェネ、自動車向けも開発」

 この開発は2000年に開始されたそうで、その商品化に向けてMTT社が設立され、いま開発のパートナーを募っているということだから、この先どのように技術開発が展開するか、まだ不透明なところはあるだろう。将来的には、150kWまでを想定し、タービンとしての効率は40%にできるということだから、これが本当なら小型のタービンは低効率という概念を打ち破るものだ。
 現在開発中の家庭用ボイラー向けサイズに続けて、小型コージェネ用、自動車用、APU(補助電源)向けなどを開発しようとしているとのこと。
 標準的な小さなモデルでは、直径が60〜80mmのローターが1万回/分で回転し、1段のコンプレッサーを使うことによって、発電と熱の比率を1対10に設定している。従来のタービンには、ローターとステーターの間を燃焼ガスが流れることによって高い周波数のノイズが発生するが、このローターのみのユニットのノイズレベルは低いという。
 発電部分を除くと、タービン本体の製造コストは従来のボイラー用バーナーとそれほど変わらないそうだから、燃焼排ガスでボイラーを駆動することによって、ボイラーに発電可能なバーナーを取り付けたのと同じことになり、発電された電力を系統に接続して利用するということが可能になる。

「09年には欧州で年間45万台を販売」

 技術的な内容は筆者の理解の域を越えているが、この競争相手として挙げているのが、スターリングエンジン、燃料電池、ガスエンジンであり、スターリングエンジンと比較しても製造コストは4分の1くらいで勝てるとしているのが面白い。ローコストであるために、ユーザーから見たペイバック・タイムは初期市場で3〜4年、量産体制に入って価格が下がると、2年で回収できると主張する。
 いまの開発予定では2009年に商品化してヨーロッパ市場で45万台を販売し、その後年間300万台販売して2015年までに1200万台を売るというから凄い。
 同じような発想で、1kW級のスターリングエンジンを取り付けたボイラーが欧州で商品化されようとしているが、日本の1kWのガスエンジン発電・給湯器「エコウイル」が人気を博しているのを見ると、3種類の発電機能付き貯湯式給湯システムの揃い踏みとなったら面白いだろう。
 日本ではガスの瞬間式給湯器が圧倒的に市場を押さえている。しかし、1kWの発電能力を持つエコウイル給湯器、電気ヒートポンプ給湯器である「エコキュート」が売れているのを見ると、土地の狭い日本でも性能と導入施策次第では、これから貯湯式給湯器の数が増えていくだろう。
 一方、欧米ではボイラー形式の給湯器が圧倒的に利用されている。ロンドン滞在中や、フロリダあたりで経験したことだが、硬水を使ってやかんでお湯を沸かすと、1回でやかん内側が石灰で白くなる。欧米ではこのスケールが発生するのを防止するために、マグネシウムの棒を入れた貯湯式ボイラーが使われているのだ。瞬間式では熱交換機配管にスケールが付着してすぐ使えなくなるだろう。
 このような給湯器にも、最近ではいろいろな制御が行われるようになっているため、停電すると使えなくなってしまう可能性が高い。電力系統の信頼度が日本より低く、また、系統連系をして売電することも比較的容易な欧米では、発電能力を持つ給湯ボイラーが市場に出れば、価格次第であることは当然だとしても、人気を博することは間違いあるまい。
 また、エコウイルが発表されたときに、フランス電力公社が非常に興味を示して、担当者が日本までやってきたことからも言えるのは、電力会社が発電能力のある給湯器を自ら設置し、その電力を買う体制があるということだ。
 この超マイクロガスタービンが本物の商品に育つのかどうか、これからの展開をしばらく注視してみたい。
 (山藤 泰 株式会社自然エネルギー.コム取締役 Eメール:santo@kcn.ne.jp)。