2006年225日号

電力4社が4月からの託送料金改定を届出
 4月からの電力料金改定を表明している東京、関西、中部、九州の電力4社は託送供給約款を変更し、経済産業大臣に届け出た。電力小売り託送のため、送電線を利用する特定規模電気事業者(PPS)などが支払う送電サービス料金の平均単価は、特別高圧で供給する場合、東電が1kW時あたり0.78%引き下げて2.55円、関電が1.23%引き下げて2.40円、中電が1.30%引き下げて2.27円、九州が1.03%引き下げて1.92円となった。また高圧で供給する場合の平均単価は、東電が3.89%引き下げて4.70円、関電が2.89%引き下げて4.70円、中電が3.43%引き下げて4.50円、九州が5.17%引き下げて4.40円とする。
 4社とも昨年10月にバックエンド新法が施行されたことから、原子力発電の使用済み燃料の再処理に必要な費用(バックエンド費用)の内、過去の発電分を託送料金に上乗せしたが、将来の経営効率化努力を最大限に織り込んで特別高圧、高圧とも引き下げとなった。4月1日から実施する。
 各社が設定した標準送電サービス料金は、東電の場合で特別高圧の基本料金が400.00円(1kWあたり)、電力量料金が1.45円(1kW時あたり)。また高圧は基本料金が575.00円、電力量料金が2.62円。関電は特別高圧の基本料金が451.50円、電力量が料金1.39円、高圧の基本料金は556.50円、電力量料金は2.95円。中電は特別高圧の基本料金372.75円、電力量料金1.44円、高圧の基本料金483.00円、電力量料金3.06円。
 九電は特別高圧の基本料金380.00円、電力量料金1.17円、高圧の基本料金455.00円、電力量料金2.74円となる。東電、関電、中電の3社は今回、高圧供給分野については電力量料金だけでなく、基本料金も引き下げた。 このほか、時間帯別送電サービス料金、ピークシフト割引なども引き下げられている 。


電力・ガス技術検討会が第3回会合 −分散型連系の技術基準整備など提案へ
 今後のエネルギー需要増大に伴う資源枯渇、地球温暖化を始めとする環境問題・社会経済動向に対応した電力・ガス分野の技術戦略を策定する資源エネルギー庁の電力・ガス技術検討会(事務局・エネルギー総合工学研究所)は2月20日に第3回目の会合を開き、資源活用や自給率の向上など、総合的なエネルギー課題の解決に向けた技術・機器を整理した。会合では1次エネルギーの高度利用といった課題を前提に、天然ガスの場合は燃料としての電力利用、コージェネ、熱供給などの技術要件を抽出し、これらに現状で対応できる熱交換器や吸収式冷凍機などの機器を整理、燃料電池など次世代機器は06年度に審議することとした。
 また今後の社会経済動向を見通し、キーポイントとなる技術開発の評価基準を作成するため具体的な技術を取り上げた。例として系統電力と分散型電源が調和した電力ネットワーク技術では、電圧安定性、周波数調整、高調波抑制といった相互関係にある系統制御技術や、高信頼化、低コスト化に向けた電力貯蔵システムの開発のようなカギとなる技術を明示した。事務局はこれらの資料を資源・環境技術と国内安定供給の2分科会で検討。次回3月27日の会合で報告書案をまとめ、これを基に06年度に検討される技術開発戦略ロードマップを作成する。


エネサーブがPPS事業を強化
 エネサーブは電力小売り事業を強化する。4月1日付けで「電力小売事業部」と「セキュリティ事業部」を統合し、新たに「電力サービス事業部」を立ち上げる。自家発電設備などの保守点検に携わっていた人員を電力小売り事業に充てることで、顧客に対して、自家発電と小売り電力の最適な電源構成による、より安価な電力供給の提案を行っていく。
 同社の電力小売り事業の売上高は今年度、18億円の見通しだ。これを来年度50億円、2〜3年後には100億円にまで拡大し、電力小売りを事業の第2の柱に育てる。電力サービス事業部長には花村一郎・電力小売事業部長が就任。当初、電力小売事業部の10人と、セキュリティ事業部の99人を併せた109人体制でスタートする。
 現在、同社は電力小売りでは自治体、民間などを合わせ76件の顧客(契約ベース)を確保している。今後は、自家発電設備を設置している既存顧客についても自家発電の燃料使用量を極力抑え、小売り電力に切り換えてもらうことでコストメリットを生み出していく。また、官公庁などの電力入札にも積極的に参加し、新規顧客を獲得することで事業規模を拡大していく。
 同社は滋賀、京都、福岡の3カ所で、レンタルアップしたディーゼル自家発電設備で構成する総容量約2万8千kWの発電所を保有。ただ最近の原油高もあって、小売り電力には電力会社から相対取引で確保した常時バックアップや、日本卸電力取引所から調達した電力を充てている。


寒冷地向け燃料電池の運転試験を開始 −新日石と北方建築総研
 新日本石油と北海道立北方建築総合研究所は2月10日から同研究所の実験住宅内(旭川市)で、灯油仕様1kW級家庭用燃料電池の「極寒冷地」向け運転試験を開始した。来年3月まで行う。今年3月からレンタル販売を開始する灯油仕様家庭用燃料電池「ENEOS ECOBOY」に改良を加えた。荏原バラードとの共同開発品。
 ECOBOYはマイナス10度C程度までの環境下での運転を想定している。新日石では今回の運転試験を通じて、マイナス10度C以下という旭川など極寒冷地での適用性を探っていく。一方、また北総研は家庭用燃料電池の省エネ効果が最大となる住宅性能を明らかにしていく。
 寒冷地向け家庭用燃料電池は、北海道ガスも都市ガス燃料のシステムについて荏原バラード、松下電器産業と共同開発を始めており一部、06年度から新エネルギー財団が進める「大規模実証事業」への投入を目指している。

新エネ促進で新環境ビジョンを策定 −清水建設
 清水建設は2月16日「新環境ビジョン」を策定、CO2排出対策のための取り組みを加速させると発表した。京都議定書が発効して1年経過したことを機に策定したもので、新年度から新たな取り組みなども加え、本格的にさまざまな施策を展開する。
 同社はこれまで、施工段階で排出するCO2を削減する取り組みを行ってきた。しかし、京都議定書に準じた削減をするために、現状では457万トンものCO2削減をする必要があり、非常に厳しいものとなる。新ビジョンでは施工段階だけでなく、過去に施工した建物の排出分も対象に加えるという、従来より厳しい目標を設定した。具体的施策として(1)排出権の確保(2)省エネビルの設計および施工(3)工事現場でのグリーン施工(4)既存建物の省エネ改修(5)新エネルギーの導入促進を行う。新エネ導入促進では太陽光発電、風力発電やバイオマス利用発電などの新エネ関連の受注提案活動を積極的に進めることにしている。また排出権を確保するため2月1日付けで、社長直轄組織として「排出権プロジェクト推進部」を設置した。同社の建築技術を結集し、10年時点で180万トンのCO2削減を目指す。獲得した排出権は「自社CO2排出削減目標達成」「市場取引による出資資金回収」また「受注提案活動」に活用する。

冷房熱源で実証実験 −北海道、雪氷物流で
 北海道開発局は、06年度に実施する「雪氷輸送物流システム検討調査」の実施内容をまとめた。同調査は北海道の雪氷を大都市圏に輸送し、臨海部オフィスビルの冷房用冷熱源として利用することで、深刻化するヒートアイランド現象などの環境問題の改善を図ろうというもの。人工池で製造した氷を6月ごろから切り出し、苫小牧〜東京の輸送実証実験および東京臨海部オフィスビルなどでの蓄熱式空調システムの冷房熱源として利用する。実証実験を予定している昨年7月に立ち上げた検討委員会(委員長・佐伯浩北海道大学副学長)で決めたもの。

環境省が自主参加型排出権取引の第2期参加者を募集
 環境省は、2月21日、第2期の国内自主参加型排出権取引制度の参加者の公募を開始した。昨年の第1期の募集に引き続き行うもので、企業などの事業者が工場や事務所、店舗などの国内の事業所で取り組むCO2排出削減に排出量の取り引きを活用することで、CO2排出量の削減に経済的メリットを付加することが目的。法令に基づかない自主参加型の制度で、京都メカニズムに基づく排出権取引とはリンクしていない。
 国内の排出量取引制度に関する知見や経験を取得することを目的に05年度から開始されたもので、06年度から新たに参加を希望する事業者を第2期として新たに「省エネ・石油代替エネによるCO2排出抑制設備整備に対する補助の対象事業者を公募する。制度への参加は(1)一定量の排出削減を約束する代わりに省エネ設備等の整備に対する補助金と排出枠の交付を受ける(目標保有参加者)と(2)排出枠等の取引を行うことを目的に登録簿に口座を設け、取引を行う参加者で、取引参加者に対しては、補助金や排出枠の交付はない、の2種類がある。目標保有者として参加するものには、コージェネなどの省エネ・石油代替エネによるCO2抑制設備の整備費についての補助や検証機関の検証を受けることで自社の温暖化対策の基盤形成に役立つこと、CO2削減に主体的に取り組む企業としての社会的PRができるなどのメリットがある。応募期間は3月31日まで。06年度の予算総額は27.6億円。3月6日に大阪地区(国民会館住友生命ビル・大阪市中央区=定員200人)、3月8日と9日の両日東京地区(三菱総合研究所・東京都千代田区=定員各130人)で、説明会が開催される。説明会への参加は登録制で、電子メールで申し込む。詳細は制度のウェブサイト(http://www.et.chikyukankyo.com)を参照。問い合わせ先は環境省地球環境局地球温暖化対策課(03−3581−3351 内線6781)へ。説明会への参加登録期限は大阪が2月28日、東京が3月2日。

下水汚泥バイオマス燃料化で共同実証 −愛知県が中部電力と
 愛知県は中部電力と共同で、下水場の汚泥を炭化させ石炭火力発電所の燃料とする「下水汚泥バイオマス燃料化」の実証試験を来年度から開始する。県の衣浦東部流域下水道浄化センター(碧南市)に実証用炭化炉を設置して燃料炭を製造、中電の碧南火力発電所(石炭、410万kW)で燃焼試験を行う。実証期間は07年度までの2年間。
 下水道の普及に伴って、下水汚泥発生量も増加する。こうした下水汚泥を炭化させ石炭の代替燃料とすることで、循環型社会の形成に貢献できる一方、燃料炭化炉は建設費が安価で、製造した燃料も有価物になることから、自治体にとって汚泥処理コストを低減できるメリットもある。06年度は燃料炭化炉の基本性能の検討と、発電用試験炉による燃焼試験を行う。07年度は実際に燃料炭化炉で燃料炭を製造し、碧南火力の実機を使って燃焼試験を行う。すでに東京電力が都下水道局と協定を結び、炭化処理した下水汚泥を石炭火力向け燃料として販売する事業を手がけており、砂町水再生センター(東京都江東区)の炭化汚泥が常磐共同火力・勿来発電所(石炭・重油混焼)で07年10月から使用される予定になっている。

バイオマス利用へ目標値設定 −大阪府が基本計画
 大阪府はこのほど「バイオマス利活用推進マスタープラン」をまとめ2011年をメドに、建設廃材や下水汚泥など廃棄物系の利活用の目標値を設定した。建設廃材は95%、下水汚泥は約50%の利活用を目標に、処理過程で発生する消化ガスも場内施設の燃料や電力として利用する。

その他の記事
・東電、中電が電気料金引き下げ
・日英で環境プロジェクト
・温対法改正案を閣議決定・12月の総需要電力
・関東地区バイオマスシンポ
・排出権取引参加者募集
・CDM国際フォーラム、3月15日に開催
・原油価格再上昇で9割が価格転嫁困難
・1月末のRPS記録量と認定設備
・RPS記録量
・相模原市健康CのPFI
・宮崎県、県有施設ESCO
・川崎市ESCO可能性調査
・大塚病院ESCO
・JFEがガス化溶融技術をイタリア社に供与
・デンヨー第3四半期決算
・マツダが水素自動車をリース販売
・JパワーがJICAから省エネ調査受注
・CO2固定化プロで成果報告
・岡山備前市庁舎ESCO
  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線
・今を考える「企業の不祥事は何故起こるのか」
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空

原子力電源活用に公取の『新RPS』提案【プリズム】

 3年前、電力業界を大騒ぎさせたアンバンドリング問題が再燃してきそうな雰囲気だ。といっても、発送配電の分離ではない。電力会社からの原子力の切り離しである。どういうことか。「原発、新規参入者も利用」「公取委、電力自由化で提言」――。これは、日刊工業新聞の2月15日付1面に掲載された記事だ。それによると、公正取引委員会は競争政策を所管する立場から、電力自由化の方向性について独自に検討を進めているという。その柱となっているのが、新規参入者(PPS)に対する原子力発電の利用義務付けだ。
 PPSの電源は、石油や石炭、ガスといった化石燃料を使用しているため、CO2排出ゼロの原子力発電を保有する電力会社と比べると、どうしてもCO2排出量が多くなってしまう。日本の京都議定書批准以降、需要家の多くがエネルギーの調達で環境性を重視し始めている中で、環境制約の観点からPPSの競争力低下が懸念されている。
 公取委としては、原子力発電の有無が電力市場での公正競争を阻害する要因になると判断。このため、原子力発電で発生する電力について、PPSのシェアに応じて引き取りを課す制度を導入したい考えだ。同時に、産業用と業務用の料金格差、託送料の透明化と料金低廉化、常時バックアップ制度の見直しなども検討しており、4月までに具体案を固めた上で、「政府規制等と競争政策に関する研究会」に報告する。
 思い起こせば、第3次電気事業法改正時、電力会社の市場支配力を弱める狙いから、垂直分割議論が盛り上がった。結果としてアンバンドリングは見送られ、中立機関や卸取引所の設置に落ち着いた。今度は送電網ではなく原子力の開放をテーマに、どんな議論が交わされるのか。落とし所が気になる。