2006年215日号

川崎重工業がニューヨーク下水用に非常用GT発電設備を受注
 川崎重工業は、ニューヨーク市環境保護局向けの下水道ポンプ電源用の非常用発電設備として7千kW級2基のガスタービン発電設備を受注した。ガスタービンの販売提携を結んでいる米国の大手エンジンメーカーのカミンズ社より受注したもので、ニューヨーク市最大の下水ポンプ施設であるマンハッタンポンプステーションに納入される。07年11月に納入、08年後半の運開予定。
 同施設は1960年代初めに作られ、マンハッタン島の南半分地域で排出される下水をイーストリバー対岸にあるニュータウンクリーク下水処理場に送り込むための施設。現在、能力増強を図るためのリニューアルプロジェクトが進められている。受注したガスタービン発電設備は主に停電時の非常用電源を確保する目的で新たに導入されるもので、非常用発電設備を請け負ったカミンズ社に川崎重工が供給する。カミンズ社を通じての受注は今回が初めて。川崎重工業のガスタービン発電設備は、北中南米地区ではコージェネレーションシステムや非常用発電設備として約200台の納入実績があり、7千kW級の発電設備もメキシコで受注実績がある。
 同クラスのガスタービン発電装置は1994年に初号機を納入以来、コンバインドサイクルシステムや余剰蒸気をガスタービン内に噴射し熱と電気の出力バランスをコントロールする熱電可変型コージェネレーションシステムなどのバリエーションがある。今回受注した設備は軽油を燃料として低NOX化が図られている。米国では初めてとなる今回の受注は、カワサキガスタービンの日本、欧州、アジア地区での豊富な実績と技術力とカミンズ社のブランド力の結びつきが高く評価されたもので、これを契機にカミンズ社との提携関係の一層の強化を図り、北中南米地区での市場拡大に注力し事業拡大を図っていくとしている 。


自由化後の電気料金は約17%低減−小委が制度改革の進捗状況を評価
 電力自由化後の市場での競争状態の現状を分析し評価検討作業を行っている総合エネルギー調査会・電気事業分科会の制度改革評価小委員会(委員長・金本良嗣東京大学大学院教授)が2月7日第5回の会合を開き、電気料金水準の推移や需要家選択肢の確保状況、制度改革が電気料金に与えた影響の定量的分析などの審議を行った。また、制度改革によって新たに創設された、卸電力市場の構造や取引所の活動状況の現状などについて評価作業を行った。電力小売市場での競争状態の評価については、部分自由化の開始以降、電力料金の段階的な引き下げが続き、その間に電気料金は平均で約17%引き下げられ、原油の価格高騰が継続している現在でもこの傾向が維持されており、欧米諸国と比べも遜色のない水準にまで低下しているとして、自由化による成果が料金に反映していると評価。電力事業者間の競争は顕在した形にはなっていないものの、料金の低廉化という形で成果が現れていると結論づけた。
 また、卸電力市場も、昨秋以降、取引の活発化の傾向が見られ、取引所発足時のほぼ目標に近い取引量があることなどを前向きに評価。今後の課題として、FCでの市場分断が多発していることなどネットワーク強化の対策の必要性や、電力取引ルールの整備がなお必要だとする意見を述べあった。評価の材料となっているのは需要家を対象としたアンケート調査によるデータが主なものとして使われている。


日機連が05年度優秀省エネ機器表彰式 ヤンマーなど11機器が受賞
 日本機械工業連合会は2月13日、東京・赤坂のキャピトル東急ホテルで05年度優秀省エネルギー機器の表彰式を行い、経済産業大臣賞、資源エネルギー庁長官賞など11機器を表彰した。
 省エネ機器表彰の応募件数は年々増えており、第26回目となる今回は応募件数が「過去最高の50機器にのぼった」(金井務・同連合会会長)中で、表彰式では同連合会会長賞にヤンマー、ヤンマーエネルギーシステム、東京ガスが共同開発したミラーサイクルガスエンジンコージェネレーションシステムが選ばれ、表彰された。300kWクラスで発電効率40・5%と世界トップクラスの高効率化を図ったことや付帯設備をユニット化したコンパクト性などが高く評価された。


三重県が東京で水素燃料電池シンポを開催
 三重県が主催する第3回の「三重県水素・燃料電池シンポジウムin東京」が2月8日、東京・丸の内の三菱ビルで開かれ、野呂昭彦知事が水素社会形成のためのモデル地域づくりに向けた同県の取り組みについて講演した。同県では03年4月に燃料電池に関する規制緩和の「特区」指定を受け現在、四日市市と鈴鹿市を中心に10カ所で燃料電池の実証試験が進められている。伊藤忠商事、コスモ石油、昭和シェル石油、東芝燃料電池システム、シャープ、栗田工業など試験の主体となる企業も商社、エネルギー企業、メーカーとさまざまだ。
 講演で野呂知事は、燃料電池に着目したのは同県臨海部のコンビナートが持つ副生水素やLNG冷熱、また多彩な研究者を活用し、水素社会形成に向けた産学の橋渡しをすることで知識集約型の産業構造へ転換していくのが目的だと語った。
 また、昨年11月には130の企業や機関で構成する「三重県水素エネルギー総合戦略会議」を設立し、水素関連技術の可能性調査に乗り出したことなどを紹介した。

三菱重工業が太陽電池の新工場を建設へ−年間製造能力は5万kWに
 三菱重工業は従来のアモルファス型に比べて1枚あたり150Wと、発電出力を1・5倍に向上させた微結晶タンデム型太陽電池の開発に成功。量産体制に入るため、太陽電池の生産拠点である長崎造船所諫早工場に、約100億円を投じて新工場を建設する。新工場の生産能力は年間4万kW(電池約27万枚に相当)。今月から建設着工し、07年4月からの市場投入を目指す。これによって、アモルファス型と合わせ年間5万kWの生産体制が構築されることになり、08年度には太陽電池の売り上げを150億円規模にまで引き上げる。
 微結晶タンデム型太陽電池は、薄膜系電池の次世代機種としてNEDOとの共同開発。アモルファス型のシリコン膜に、微結晶のシリコン膜を積層した2層構造によって、太陽光を幅広く吸収し発電効率をアップできる。また、原材料に制約がないことでコストダウンが図れるメリットもある。太陽電池市場は年率30%のペースで急成長を続けており、02年からアモルファス型の生産を開始した同社も現在、フル稼働の状態だという。

鳥取ガスがオールガス化ショールームを建設へ
 鳥取ガスはガスコージェネレーションシステムなどのオンサイト発電を利用したオールガス化ショールームを建設する。最新のガス機器の展示などとあわせて、顧客のコミュニケーションの場として利用する。エコウィルやマイクロガスコージェネなどによるオンサイト発電により、施設で利用する電気や熱エネルギーの全てをガスによって賄うオールガス化施設。訪れる人々にオールガス化の快適な生活を提案、体感してもらえる仕組みと設備を整えている。ショールームには、最新ガス機器展示と体感、体験コーナー、リフォーム機器展示と体感コーネー、みんなに優しい「バリアフリー設計」、料理教室や多目的質、お子様ゾーン、カフェ、屋外デッキなどが設けられ、快適なオールガス化生活が体験できる。5月に着工し、今秋に竣工する予定。

下関市が市立病院のESCO事業を計画−事業者を募集
 山口県下関市は、市立中央病院にESCO事業を導入することになり事業者の公募を開始した。3月14日までに技術提案書を受け付け、3月末に優先交渉権者を選定する。事業内容は省エネルギー率10%以上を実現させる包括的エネルギーサービスの提供で、個々のボイラーと空調用の冷温水器の改修提案を求めている。施設規模は延べ2万5902平方m。NEDOの補助を予定している。

その他の記事
・総合エネ調総合部会が初会合
・東京商工会議所がeco検定
・川重と五洋が風力を納入
・シチズンが水素センサーを開発
・宇多津町給食CがPFI
・多摩基幹病院PFI
・大阪府のESCO表彰
・海洋建設協が海洋エネ報告書
・国交省営繕コンクール受賞者決まる
・静岡ガス大石会長受勲祝賀会
・日立アプライアンスの社長交替
・環境省、新・省エネ促進へ
・建築着工統計
・建設経済研が06年度投資見通し
・静岡ガス大石会長旭日小綬章授賞で記念式
・旭労災病院ESCO
・前田道路が建築廃材でバイオ発電
・06年空調展が開幕
・NEDOが太陽光システム3件公募
・NEDOがエネ合理化3次交付決定
・NEDOが高効率エネとBEMS支援募集
・NEDOが太陽光システム実用化2件決定
・NEDOが風力と太陽熱フィールド公募
・05年の産機受注は15.6%増
・東京ガス役員人事
・石油製品市況
・川重が環境事業を切り離し
・鹿児島県歴史資料館ESCO
  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線
・今を考える「企業の不祥事は何故起こるのか」
・建築計画・工事ニュース
・インサイト−分散型発電用語の栞

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空

分散型エネルギーの最前線(その10)
−キャプストン マイクロガスタービン新モデルの評判−【シリーズ連載】


 空気軸受けで、タービンと同軸に一体化した高速回転発電機を備え、小型ガスタービンにしては発電効率の高い30kW、60kWクラスのマイクロガスタービン発電装置を市場に出している米・キャプストン社が、昨年12月に65kWの新しいモデルを発表し今年から販売を開始した。この新製品は、従来の60kWタイプに代わるものとなるらしい。
 この新しいシリーズは、今まで30kWタイプにしかなかった天然ガス以外の燃料、たとえば、バイオガスとか油田・ガス田の生ガスをそのまま使えるという機能をオプションで付加できるようになったとのことだ。この場合、内部の熱交換器をステンレス製に換えるらしい。

「発電効率は29%に向上」
 天然ガス燃料の場合、発電効率は29%(従来型より8・5%の向上)、NOXの排出は5ppm(同45%削減)、熱回収機構内蔵型では総合熱効率80%(4%向上)と、かなりの性能改善をしているし、別にコントローラーを付けないでも20台をまとめて運転制御できるというのも興味を引く。
  同社が10年以上前にこのマイクロガスタービン発電装置を開発して発表したとき、そのユニークさが市場の注目を集め、急成長するのではないかと思われた。ところが、最近の業績を見ると、今まで3千台以上を売り上げてきたとはいえ、直近の決算では赤字で苦闘しているようだ。米国の天然ガス価格がどんどん上がっている状況の中で、もっと高い発電効率を求めるユーザーが二の足を踏んでいるようだから、この新製品が起死回生の役割を果たせるかどうか注目したい。米国の新エネルギー政策では、バイオマスにも大きな期待がかかっているため、燃料の自由度が高まったことが貢献するかもしれない。
 日本でも、機器コストが相対的に高い割に、ガスエンジンに比べて発電効率が低いということと、初期製品にトラブルがあったこともあって、当初の期待を裏切った売れ行きだと聞いている。ただ、空気軸受けであるために排気中に潤滑油成分が入る可能性がないというのは、ガスエンジンでは想定できない魅力であるだけに、使用目的によっては独自性を発揮するのではないかと、発表のすぐ後で現物を見た頃から思っていたが、つい最近、まさにこの発想に基づいた事例に出会うことができた。

「無洗米工場で排熱を直接利用」
 糠で糠をとる方式だとよく言われるBG無洗米プロセスのメーカー、東洋精米機製作所が和歌山にある。この方式では、通常の精白米を無洗米にする工程でも水を使わないのだが、精白米の表面から除去された糠も肥料に加工し、有機肥料「米の精」という商品として販売して環境改善に一層貢献している。これを使って育てたバラは長持ちするそうだ。この肥料化のプロセスでは、糠が自然発酵して変質しないように加熱して、発酵菌を不活性化してやらなければならない。従来は、ガスで加熱していたそうだ。
 同社はBG無洗米への需要増に対応して、埼玉県坂戸市に無洗米工場を新しく建設したが、ここにキャプストンの30kWシリーズのマイクロガスタービン・コージェネレーションが3台設置され今、順調に試運転の過程に入っている。送電端出力は1台27kWで設計されているが、糠を加熱して発酵を止めるのに、このマイクロガスタービンからの排気ガスを、熱交換器を使わずに直接吹き付けている。もしこれがガスエンジンであれば、燃料に天然ガスを使っていても、排気ガス中には燃焼生成物のほかに、潤滑油成分などがどうしても入るために排気をそのまま吹き付けて使うわけにはいかない。
  その理由は、糠からできた肥料は有機肥料として使われるとき(牛などの餌としても使われ肥育に良いそうだ)、それが生育させる植物に有害なもの、あるいは、米や果物、野菜など人間の口に入って有害となる可能性のあるものが含まれていると困るからだ。エンジンからの排熱を使うとすれば熱交換器を使わざるを得ないだろう。
  回収された米糠は、水分含有度の高いペースト状のものだ。これにマイクロガスタービンからの高温排気を直接吹き付け攪拌(かくはん)してやることにより、米糠が最終的には直径数ミリのサラサラした粒状のものとして出てくる。この過程を経て出てくる排気の温度は摂氏70度程度で、今の計算では、発電と熱回収を併せた総合熱効率は90%を超えるのが確実だという。
  BG無洗米への需要が予想以上に好調で、それに伴って出てくる米糠の処理量も増えているために、この実績も考慮に入れて増設も考えているとのこと。並列運転制御が本体に組み込まれているために、増設にそれほどの難しさはないだろう。このプロセスは、食品の乾燥プロセスとまったく同じだから、同様の事例は日本でもあるのだろうが、たまたま直接情報を仕入れる機会があったのでご紹介した次第。
  発電効率が上がり、NOX排出量が飛躍的に下がったキャプストンの新機種が、市場でどのように評価されるか楽しみではある。
(山藤 泰 株式会社自然エネルギー・コム取締役・関西大学大学院客員教授)