2006年115日号

関東200km圏で総合エネルギー事業を展開−東ガスが中期経営計画を発表
 東京ガスは1月11日、従来型のガス事業が成熟化していく中で、総合エネルギー事業を本格化させることに主眼を置いた「グループ中期経営計画(06〜10年度)」を発表した。ガスと電力のマルチエネルギー供給と、さまざまなソリューションをワンストップで提供するエネルギーサービスを軸とする総合エネルギー事業を「関東200km圏」というより広域的なエリアで展開し、新市場の創造と開拓を図っていく。
 産業用・業務用需要家向けには稼働中のベイパワー(10万kW)に加え、LNG基地近くに建設することで発電原価の低減を図った3カ所の大型発電所、横須賀パワー(24万kW)、川崎天然ガス発電(80万kW)、扇島パワー(120万kW)が06年度以降、順次運転開始することからLNG、LPG、電力といったマルチエネルギーをワンストップで提供していく。
 また、こうした競争力のある大型発電所の運開に伴い、コージェネシステムなどとのベストミックスを実現したエネルギーサービスを推進。10年度にはコージェネシステムのストック量を185万3000kW(05年度見通し132万7000kW)にまで引き上げる。一方、家庭用分野では家庭用燃料電池「ライフエル」と、今年1月から市場投入を開始した「エコウィル」を「マイホーム発電」と位置付け、設置からメンテナンスまでを一括して提供することで05年度の2000台(見通し)を10年度には4万3000台にまで普及させる。さらに家庭用分野では、マンションなどにコージェネシステムを設置し、各戸に電力供給する集合住宅エネルギーサービスも手がける。
 こうした総合エネルギー事業を広域的に展開するため鹿島工業地帯(茨城県)でのLNG供給を狙った「千葉〜鹿島ライン」(78km)を10年度に開通させるほか、群馬、栃木などの工業団地内の大規模需要獲得に向け、帝国石油と連携し「群馬連絡幹線」(100km)の第1期工事に06年度から取りかかるなど、ガス導管網の拡充にも努める。 ガス販売量は卸供給も含めた全体で05年度の127億立法メートル(見通し)から、10年度には年間147億立方メートルにまで拡大する。


新エネ、省エネに重点、燃料電池・水素関連に340億円−06年度エネルギー予算
 
年末に閣議決定された06年度エネルギー特別会計(経済産業省などが所管)の政府予算案は、特別会計見直しが進められる中、石油特会が5780億円、電源特会が4034億円と、ともに05年度当初予算比約1割減となり「卒倒しそうなほど厳しい状況」(資源エネ庁)にあって、地球温暖化対策の強化に向けた省エネ・新エネ対策に重点を置いた予算が認められた。省エネ対策は05年度予算比ほぼ同額の1663億円(環境省分含む)、新エネ対策は同6%減の1566億円(同)。
 省エネ対策では、コージェネ導入などの費用を補助する「エネ使用合理化事業者支援事業」が260億円と約3割増額されたほか、ガスエンジン給湯器などの導入を補助する「高効率給湯器導入事業」でも178億円と、2倍近い予算となった。一方、新エネ対策では「新エネ事業者支援対策事業」が微増の353億円となったほか、燃料電池・水素関連の技術開発や導入促進に340億円と手厚い予算措置が講じられ、05年度から始まった家庭用燃料電池の導入を補助する「大規模実証事業」では33億円が、また、新規に数W程度の燃料電池開発に4億円が認められた。このほかバイオマス熱利用技術の実証試験を行う「地域バイオマス熱利用フィールドテスト事業」で38億円、より高効率化と低コスト化を目指した「太陽光発電システム未来技術研究開発」に20億円が、いずれも新規に認められている 。

エネ政策を総合的に見直し−安全保障研究会が初会合
 経済産業省は、最近の原油価格の高騰を契機として内外で急速に顕在化しているエネルギーの安全保障問題について総合的な検討を行うことを目的に、学識経験者と関係産業会等の有識者をメンバーとする「エネルギー安全保障研究会」を資源エネルギー庁長官の私的諮問機関として設置し、12月22日に第1回の会合を開いた。約半年間かけてエネルギー政策等の総合的な見直しを行い、@短期的な対応か中長期的な対応かA国内の対応か、地域的な対応か、グローバルな対応かB政府の対応か、自治体の対応か、産業界の対応か等を考慮した政策資源の再配分等について検討を行い、夏頃に中間取りまとめを行う。
 これまでの日本のエネルギー安全保障は石油の安定供給を最重要事項として中東地区の地政学的なリスク回避を中心として講ぜられてきており、今後は、これに加えて、テロリズムの脅威や中国等のエネルギー需要の急増、石油のOPEC依存度の上昇とOPECの生産余力の低下などの中長期的な需給構造の変なkを視野に入れた対策を検討することにしている。
 研究会は今後、毎月一回程度の開催スケジュールで検討を行い、6月に開催する第7回の会合で中間取りまとめを行うことを予定している。
【研究会委員】寺島実朗/日本総研理事長(座長) 石井彰/JOGMEC石油天然ガス調査グループリーダー 後藤康浩/日本経済新聞論説委員 坂梨義彦/電源開発取締役 鈴木達治郎/電力中央研究所上席研究員 須藤繁/国際開発センター主任研究員 武田淳/みずほ総合研究所シニアエコノミスト 田中明彦/東京大学東洋文化研究所長 築舘勝利/東京電力取締役副社長 内藤正久/日本エネルギー経済研究所理事長 橋本尚人/野村證券IBリサーチ部主任研究員 畑中美樹/国際開発センターエネルギー環境室長 平井茂雄/新日本石油常務取締役 前田忠昭/東京ガス取締役常務執行役員 増田幸央/三菱商事代表取締役兼副社長執行役員 山内昌之/東京大学教授。


電力・ガス技術検討会が2回目の会合−ニーズに対応した技術開発を審議
 今後の社会経済動向や環境問題に対応し、電力とガスが一体となった新しい技術戦略を策定する資源エネルギー庁の電力・ガス技術検討会(事務局・エネルギー総合工学研究所)は12月27日、第2回目の会合を開き、検討会の下に設置された分科会の報告と、エネルギー需給ニーズに応じた技術開発を審議した。会合では、資源ポテンシャル拡大のためバイオマスなど未活用資源の開発や、CO2削減に向けた発電システムの高効率化、排熱の融通・貯蔵などの技術要件を、また安定供給面では、分散型電源が大量接続された場合、電力・ガス系統で効率やコスト面での問題はないが、災害時の影響に関して検討を続けるという報告を受けた。
 またエネルギー転換、制御技術など資源採取から供給の中で発生する技術を細かく整理し、エネ需要増大時には水素製造などによって増大需要に対応する手法などを明示した。事務局はこれを基に技術開発課題評価方法案を作成、2月20日予定の次回会合で審議する。

エネ庁が燃料電池周辺機器の標準スペックを公表
  資源エネルギー庁は、燃料電池のシステムコストの低減を図るため、周辺機器の仕様をほぼ統一した「共通仕様」を公表した。標準的なスペックを公開し、ベンチャー企業などの新規の開発参入を容易にして、機器開発を加速化、コストダウンに結びつけるのが狙い。ポンプやセンサーなどの家庭用燃料電池システム用の周辺機器の仕様については、昨年4月にシステムメーカーなどへのアンケート調査し、その結果に基づいてスペックを公表していたが、今回は要求スペックをさらに精査し「共通仕様」として周辺機器のスペックをリスト化した。各補記について要求されるスペックと1万台生産時の1台当たりのコストを目標コストとして記載、補機類。

その他の記事
・経済同友会が環境税導入を提言
・エネオスが青森県でESCO
・北海道ガスが寒冷地向け燃料電池を開発へ
・太陽光フィールドテスト委託先決まる
・JFEが山形でバイオマス発電を受注
・富士重工が2千kWの風車を開発
・ホンダが太陽光パネルを製造へ
・バイオマス地域エネシステム委託先は7件   etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線
・今を考える「企業の不祥事は何故起こるのか」
・分散型発電実務用語の栞
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空

建設業界の構造変化 【青空】
  もしかしたら今年は、わが国産業界にとって構造変化の、歴史的な1年になるかもしれない。とりわけ建設業界に、最も大きな動きがありそうだ。去る1月4日に施行された改正独禁法による影響である▼昨師走29日、某一般紙の1面トップに、白抜きの主見出し「ゼネコン4社『談合と決別』」の記事が、業界に激震をもたらした。越えて10日には某経済紙が、公共工事で入札ボンド検討中との1面トップ記事を掲載、激震が"本物"であることを教える▼いま、多くの建設企業は自らの進むべき道がどこにあるのか、あるいは道標はどの方向を指しているのかが分からず暗闇で、もがいている。ベクトルを鮮明にしている企業でさえ、将来に対する不安感は過去経験したことのない高次のレベルだ▼回りくどい言い方は止めよう。建設業界に、少なくとも戦後一貫して慣れ親しんできた「護送船団」方式との決別、いわゆる自由競争が到来する可能性が高まっているのである。自由競争は、生きるか死ぬかの二者択一を意味する▼自立はかなうのか。むろん、誰しも死ぬのは嫌だから苦悩しているわけだが、延命のための戦術や戦略、あるいは座標軸さえ見定められていないのが実際で、生死の瀬戸際だと言うのに、うろたえるばかり、というのが現状というわけだ▼企業の基本は、世の中に存在理由があるか否かである。理由があれば、同業他社を凌駕(りょうが)するほどの"売りもの"があるかどうかを問おう。そして、それが無ければ早急に確立し、差異化を図らなければならない▼昨年末に耐震強度偽装問題という信じられない事件が表面化した。背景には過度のコスト競争があるが、改正独禁法はさらなる競争を誘導、惹(じゃっ)起するのだけは確実だ。