2006年 新年特集号
2005年12月25日 2006年1月5日 合併号


ディーゼルでNOX濃度30ppmを達成
 JFEエンジニアリングはダイハツディーゼル、岩谷産業と共同で、DMEを燃料とするディーゼル発電設備で画期的な低NOX化に成功したと発表した。排ガス再循環装置を追設した1250kWのディーゼル発電設備を使った実証試験で、エンジン出口での排ガスNOX濃度30ppm(O213%)という画期的なNOX濃度を達成したもので、これは、東京、大阪、横浜などの排ガス規制を脱硝装置なしでクリアできる水準。最新のガスエンジンやガスタービンの排ガスNOX濃度をもしのぐ画期的な性能といえる。
 ディーゼルエンジンは他の機関に比べ設備費が安価で熱効率が高いことから分散型発電設備として広く普及しているが、重油や軽油を燃料とする従来の使用方法では排ガス中のNOXや煤塵濃度が高く、特に都市部での設置には厳しい規制がかけられていた。今回、燃料にDMEを使用することで従来と同等の熱効率を維持しつつ排ガス中のNOX濃度を大幅に低減できることが実証された。
 DMEは天然ガス、石炭、バイオマスなどから合成可能な液化ガスであり、燃焼時に煤塵やSOXが発生しないクリーンエネルギーとして低コスト化に向けた開発が進められている。実証試験は、02年度から5カ年計画で実施しており、1250kWの実証設備を昨年10月に神奈川県横浜市のJFEエンジニアリング鶴見工場内に設置して試験運転を行っている。ダイハツディーゼルがエンジン本体を、JFEエンジニアリングがプラント全体のエンジニアリングを、岩谷産業がDME燃料のハンドリングを担当している 。

大阪ガスとヤンマーが冷房できるマイクロコージェネを開発
 大阪ガスとヤンマーエネルギーシステムは共同で排熱の冷房利用ができる25kWのマイクロガスエンジンコージェネシステムを開発、昨年12月20日から販売を開始した。発電効率も33・5%とさらに高効率化が図られており200kW機に匹敵する発電効率を達成している。
 両社は98年に業界で初めて9.8kWのマイクロコージェンを発売、現在5kWから25kWまでをラインアップしているが、従来機は、回収した排熱温度が低く、主に給湯用途に限られていた。新機種では、排熱回収温度を83度Cまで高め、排熱投入型ガス吸収例温水機であるジェネリンクと組み合わせることで排熱を冷房用として利用することが可能となった。また、パッケージの高さを約20cm低くし、約3%の軽量化を図るなどコンパクト化に成功、希薄燃焼エンジンで燃焼温度を下げ、低NOX化も図った。また、8台までの複数運転制御も可能になり、電力負荷200kWまでの需要家に対応できるようになった。両社は給湯負荷が少なく従来機の導入が難しかった事務所ビルや商業地区、病院やホテルなどに向けに販売活動の強化を図る。

川崎重工が8千kW級熱電可変型GTコージェネ初号機を納入
 川崎重工業は、8千kW級の熱電比可変型ガスタービンコージェネレーションシステムをデンソー豊橋工場に納入した。新たに開発した蒸気噴射式増加型ガスタービンを搭載した初号機で、熱需要の少ない時季には余剰蒸気をガスタービン内に噴射することで発電出力の増加を図る。同社の7千kW級ガスタービンM7A−02に蒸気噴射による出力増加機構を付加して出力アップを図っている。
 納入先のデンソー豊橋工場では電気と熱の負荷変動が大きいため、熱電比可変型とすることで負荷変動に応じた高効率の運転が可能になった。川崎重工業では、600kWから1万8千kWまでの出力レンジを、基本10タイプの自社開発のガスタービンを搭載したコージェネレーションシステム「PUCシリーズ」でラインアップしている。このうち1500kW級のPUC15と6千kW級のPUC60については従来から熱電比可変型もシリーズ化しており、これまで29台の納入実績がある。今回新たにPUC70にも熱電可変型をシリーズラインアップに加え、より幅広いニーズに対応できるようになった。省エネルギーや省CO2を目的としたコージェネレーションシステムの導入が活発化してきている工場などの産業用需要向けに販売活動を強化していく 。

岩谷産業と東芝燃料電池システムがLPG燃料電池の実証試験を開始
 岩谷産業は、東芝燃料電池システムと共同でLPガス改質型の家庭用燃料電池システムを横浜市と埼玉県、群馬県の3軒の一般家庭に設置して運転試験を開始した。新エネルギー財団が実施する家庭用燃料電池の大規模実証試験に参加しているもので、1月中にはトータルで10台の設置稼働を行う。
 設置した燃料電池システムは固体高分子型で定格出力は700W。発電効率は32%(HHV)で排熱回収を含む総合熱効率は71%(同)。利用できる温水温度は65度Cで騒音は42db以下。運転方式は全自動でDSS、連続運転ともにできる。貯湯槽は容量は200リットル、発電ユニットサイズは幅870×高さ885×奥行き350mm。現在実用化されているLPガス仕様の燃料電池の中では最もコンパクトのタイプ。定格700Wから30%負荷の210Wまでの出力範囲で高効率の運転ができる。
 岩谷産業では、03年から家庭用のマイクロガスエンジンコージェネシステムの販売も行っており、これまで約300台の販売実績がある。このシステム設計や施工、燃料供給、メンテナンスといったノウハウを使って燃料電池コージェネの販売を行い、06年度には30台以上、07年度には60台以上の設置を目指している


東レがDMFCの発電性能向上に成功
 東レは、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)の発電性能を実用化レベルまで向上させたと発表した。主要部材である高分子電解質膜とそれを用いた膜電極複合体(MEA)の性能を向上させ、従来のフッ素系電解質膜と比べて伝導度を損なうことなくメタノール透過性を10分の1以下に低く抑えた炭化水素系電解質膜を世界で初めて開発した。さらに、MEAでも、よりエネルギー密度が高い高温、小梅タノール濃度での発電性能を大幅に向上することに成功した。ノートパソコンや携帯電話などのモバイル電子機器等の小型化や長時間使用などに結びつく技術として東レではこの分野での事業化を本格化させるとともに自動車用電解質膜の開発にも取り組む 。

その他のニュース
・RPS小委員会が論点を集約、部会報告へ
・よこはま新エネルギー基本構想
・NEDOが太陽高々度か実証試験をアジア地区で実施へ  
etc.

特集企画
【 新年の市場展望 】
環境エネルギーに向かう分散型発電  
 
 新年の分散型エネルギー市場を展望すると、いくつかのキーワードが用意されている。まず、4月から電気料金が再度引き下げられる。同時に、改正された省エネ法と温対法の施行がある。また、昨年から見直し作業が始まっているRPS法の見直しなど新エネ再評価の行方なども関心事項。こうした制度、環境整備によって、分散型エネルギーシステムの活用範囲が更に具体的な広がりを見せる方向に向かうのかに注意を払う必要がある。・・・・つづきをPDFで読む

特集企画
【 新春パネルディスカッション 】
省エネ法の改正と分散型エネルギーシステムの役割


 京都議定書の発効、議定書目標達成計画の策定、省エネルギー法・地球温暖化対策推進法の改正など、省エネルギー、エネルギーの環境対策についての制度整備が進められる中で、コージェネレーションなどの分散型発電システム、新エネルギーシステムへの期待や役割が大きく変化しようとしている。こうした分散型エネシステムを取り巻く環境変化を省エネ法の改正にスポットを当て、環境エネルギーシステムとしての分散型エネルギーシステムの市場変化の方向について5人の専門家各氏に話し合ってもらった。
・コーディネーター 柏木孝夫 東京農工大学大学院教授
・パネリスト 大関彰一郎 省エネルギーセンターエネルギー環境本部長/井熊均 日本総合研究所創発戦略センター所長/三浦千太郎 エネルギーアドバンス代表取締役専務/坂内正明 日立製作所分散エネルギーシステム部部長

*パネルディスカッションで示された提言

分散型エネルギーシステム普及拡大に向けた
政策提言

大規模集中型と分散型との協調によるエネルギー政策の方向を明確に示すこと
・大規模集中型と分散型の2者択一をではなく、バランスを考慮した協調を図るべき
・政策は客観的な数値判断ではない。分散型を普及させる明確なイデオロギー判断の下での確信を持った政策展開が望まれる
コージェネの導入は、何を代替するのかを明確に示す(全電源か火力平均か)
・熱電一体管理にふさわしい政策とは、コージェネ等分散型電源と大規模電源とのベストミックスを探るということを再確認
分散型電源にインテリジェンスを持たせる
・システム運用面で効率的な運用を可能にする制御システムの更なる機能向上
・インテリジェンスを持った分散型をネットワーク化して利用すれば分散型システムの効率はさらに1割程度の向上が期待できる
・地冷との連携で、システム全体の効率的な利用が可能になる
・マイクログリッド普及には公的な基盤インフラの整備が必要
省エネ、省CO2に対するインセンティブを与える
・ペナルティーとインセンティブ、プラスとマイナスの仕組みづくり
・CO2削減に目に見える形のインセンティブを
新エネ拡大の課題は、化石燃料に代わるインフラの燃料流通をどう作るか
・バイオマス利用は燃料化(ガスや液体)にしてから流通させる
・余剰電力を蓄える仕組み。水素や蓄電
ESCO事業によって分散型ビジネスが拡大する
・複合化された高効率のトータルシステムを早期に実現する
・ユーザーに対する省エネ、省CO2サポートが、エネルギーサービスの重要な使命に
・評価項目の多様化に対応する総合的なエネルギーサービスを展開するのが第2世代のESCO


その他の特集企画

・分散型エネルギー関係機関、企業、団体からの新年メッセージ

企画・連載
・議定書時代の新ビジネス(最終回)
・分散型エネルギーの最前線
・建築計画・設計ニュース

コラム
・ちょっと一休み
・青空

 
エネルギー産業を巻き込んだ「分散型旋風」を 【プリズム】
 2006年は「上昇」がキーワードの一つになりそうだ。GDP(国内総生産)上昇、物価上昇、株価上昇、金利上昇、税率上昇――。とりわけ、政府が12月に発表した06年度の経済見通しによれば、実質成長率は1.9%となり、消費者物価指数も0.5%の増加。「政府・日本銀行が一体となった取り組みを行うことにより、デフレ脱却の展望が開ける」と明示した。
 確かに、わが国経済をめぐっては昨秋以来「回復基調にある」と見る向きが広まっているが、果たして本当に景気は上向いているのか。実感としては、「まだまだ」と言わざるを得ない。エネルギー産業に携わるメーカー関係者からは、「依然として業績が苦しくて」という嘆き声ばかりが聞こえてくる。
 そんな中でも、ホクホク顔なのが電力会社である。東京、中部、関西、九州の電力4社は06年春の値下げを表明、残る電力会社もこれに追随する見通しだ。前回の値下げからわずか1年程度でさらに値下げするとは、恐るべし。 高圧全面自由化で電力市場全体の6割強が自由化領域に入るため、03年度の第3次電気事業改正審議の最中には、電力会社への影響を懸念する声が出ていたが、ふたを開けてみれば、そんな心配もどこ吹く風。それどころか、分散型電源事業者や特定規模電気事業者(PPS)が軒並み原油高騰の影響に苦しむ中で、原子力保有の強みを生かし圧倒的な競争力を見せつけている。「某中堅PPSでは、赤字幅が当初予想の10倍近くにまで膨らんでいる。そろそろ経営破たんするPPSが出てくるかもしれない」(大手都市ガス関係者)。とはいえ、ガス燃料の分散型電源には追い風が吹いているのも事実。06年度には、電力会社を震撼させるような、新たな「分散型旋風」をぜひとも巻き起こしてもらいたいものだ 。