2005年1215日号

分散型エネシステムの役割と方向性を探る−本紙がパネルディスカッション
 「省エネ法の改正と分散型エネルギーシステムの果たす役割」をテーマに、本紙が主催するパネルディスカッションが12月13日に、東京・千代田区の霞が関ビルで開かれた。パネルディスカッションは、東京農工大学の柏木孝夫教授をコーディネーターに、大関彰一郎省エネルギーセンターエネルギー環境技術本部長、井熊均日本創発戦略センター所長、三浦千太郎エネルギーアドバンス代表取締役専務、坂内正明日立製作所エネルギーソリューションサービス推進本部・分散エネルギーシステム部部長の各氏をパネリスト各氏に、分散型エネルギーシステムを取り巻く市場環境がどのように変化するのかなどについて意見を述べ合った。
 パネルディスカッションでは、まず、大関氏が省エネ法の改正概要について、熱電一体管理やCO2排出届けが加えられたことなど、コージェネなどの分散型エネルギーシステムが導入しやすい環境整備がされたと紹介。続いての討論では、事業者側の複数のパネリストから、エネルギー管理が強化されることは分散型システムにとっては市場拡大の意味があり賛成できるが、電力のCO2削減対象が全電源平均となるのは疑問があること、数値から政策の方向を決めるのではなく、まず普及させるというイデオロギーがあって、それをどのようにして実現させるのかという政策の方向付けが必要で、分散型エネルギーシステムをどのように普及させるのかという観点から政策展開が望まれるなどの多様な意見が述べられた。パネルディスカッションの詳細は、新年特集号(1月1日付)で紹介する。


東ガスライフエルの稼働台数が100台に到達
 東京ガスは12月2日、家庭用燃料電池「ライフエル」(1kW級)の稼働台数が同日、100台に到達したと発表した。また同日までに180台を超える設置先も決まっており、05年度中に200台の市場導入を予定している。
 東ガスは今年2月、世界で初めて家庭用燃料電池を市場投入。07年度までに1千台近い家庭用燃料電池を、主として戸建て住宅を中心とした一般家庭に設置していく計画だ。積水ハウスなど住宅メーカーと共同で、新規分譲物件への導入も積極的に進めている。
 設置した各家庭は東ガスと「FCパートナーシップ契約」を結び、契約料100万円で10年間使用でき、3年間、運転データなどを東ガスに提供する。東ガスは得られたデータを基に、08年度には「次世代機」と呼ぶ実用機を開発し同年度以降、2〜3年間で1万台以上の普及を目指す。家庭用燃料電池1台につき約600万円を国が補助する「大規模実証事業」が今年度から始まっており、東ガスは今年度141台(松下製90台、荏原製51台)について補助金交付を受けている。同制度は07年度まで継続される予定で、東ガスではこうした助成制度も活用しながら、地球温暖化対策の一つとして期待される家庭用燃料電池の普及を図っていく。


横浜で世界風力会議がシンポジウムを開催
 世界風力会議(GWEC)が今年3月に発足したことを記念した風力発電国際シンポジウムが12月8日と9日の両日、パシフィコ横浜を会場に開催された。世界風力会議には、日本からも日本風力エネルギー協会と日本風力発電協会の2団体が加盟団体として参加している。GWECの初年度事業として、これまでに米国、オーストラリア、ドイツ、カナダの各理事国で理事国会議や見本市などの発足記念行事を順次開催している。シンポジウムでは、ゼルボスGWEC会長が基調講演で、各国、各地域が持つ風力発電や自然エネルギーの拡大に向けて問題点や課題を共有し、政策提言や支援を行うなどのGWEC設立の意義や目的に対して理解と協力を呼びかけた。また、森輝幸日本風力発電協会代表理事が主催者を代表して「ようやく100万kWを超えてきた日本の風力発電の普及を更に加速化させていくために、世界各国と協調を図りながら問題の解決を図ることが重要。理事国として、日本発の情報発信を積極的に推進したい」と述べた。続いて、牛山泉日本風力エネルギー協会会長が開会宣言を行った。
 シンポジウムは初日の8日には、欧州地域の大規模系統連系や洋上風力の可能性について、また、中国の風力発電の現状についての講演が行われた。2日目の9日には、神奈川新聞社の稲村隆二社長のコーディネートにより、「今後の風力発電の進むべき方向性」をテーマにパネルディスカッションが催された。

コージェネ導入でCO2を31%削減−サントリー利根川工場
 サントリーは、12月1日から利根川ビール工場に4800kWのガスエンジンコージェネシステムを導入したと発表した。コージェネシステムの導入によって年間16%の省エネルギーが図れるとともに、03年度1年間の排出量の約31%にあたる1万2510トンのCO2排出量の削減を図る。コージェネシステムは2400kW×2台のガスエンジンコージェネで、排熱利用も含めた総合エネルギー効率は75%と極めて高いエネルギー効率のシステム。発電時に発生する温水を有効利用するため温水焚吸収式冷凍機を導入し、ビール製造工程の冷却を電気ではなく熱を利用することで、冷却工程の電力使用量を約200万kWh削減することが可能となった。同社では、既に、今年3月に京都工場にガスエンジンコージェネを導入済みで、今後とも全社的な省エネ、CO2削減を進める観点から、他工場でもコージェネシステムの導入を行っていく。

現場事務所に新エネ、佐藤工業ら3社連携で
 中堅ゼネコンの佐藤工業、若築建設、川田工業の3社は、業務連携の一環として現場作業所に転用型太陽光発電システムを都内現場など4カ所に採用、環境活動によるコストダウンを図ってきたが、現在新エネルギーシステムの導入を検討している。3社は今後、さらに風力発電、小水力発電、バイオ発電、波力発電、潮発電などの多様な新エネルギーを現場へ導入する計画を進めている。

その他のニュース
・地冷事業をリニューアルするエネルギーアドバンス
・名古屋駅前地区の2つの地冷事業
・環境基本計画、22日に取りまとめへ
・エコプロダクツ大賞決まる
・九州地区でコージェネセミナー
・地域新エネ・省エネ調査は日本総研に  etc.

連載企画
【議定書時代の新ビジネス】
バイオマスをMGTで燃焼させ、グリーン電力を−明電舎


 京都議定書時代の分散型発電の燃料として期待されているのがバイオマスだ。未利用の自然エネルギーとして大きな可能性を持っている。とはいえ、まだまだバイオマス利用は始まったばかり。多くの企業が模索している。
 そんな中、明電舎は、処理場における汚泥処理から発生する消化ガスをマイクロガスタービン(MGT)による発電システムで利用するシステムを確立した。さらに発電した電力の環境価値を、グリーン電力証書として、外部と共有できる仕組みも取り入れていくという。この新たなシステムについて、明電舎社会システム事業本部で話をうかがった。
 明電舎が他社に先がけてキャプストン製のMGTを設置したのが、01年3月。これに目をつけたのが日本下水道事業団だった。実は現在、下水処理施設の汚泥処理場は、全国に約300カ所ある。ここから消化ガスとしてメタンなどのバイオガスが発生するが、これが発電に用いられるケースはほんのわずかしかない。半分程度の量が処理施設の熱源として使われ、あとは焼却処分されているというのが実態だ。とはいえ、多くは想定発電規模が100kW以下の小規模なものしか設置できないような処理場である。こうした処理場を効率化する手段として、事業団が注目したというわけだ。
 こうしたことを背景に、明電舎と事業団の共同研究がスタートした。消化ガスの場合、メタンに不純物が含まれており、これをどのように除去するかが課題だった。こうした課題をクリアし、北海道岩見沢市の処理施設で実証試験を行い、続いて石川県、群馬県伊勢崎市、広島県の施設で導入され、当面の市場は汚泥処理場や一部埋立地のガス処理、畜産糞尿処理などとなっている。だが、汚泥処理場を持たない下水処理場が700カ所程度あり、さらに市場の拡大が期待できる。最近の小規模発電というと、ガスエンジンが主流だが、24時間連続運転が前提となる処理場ではMGTの方が、メンテナンスが楽なので効率的だという。
 伊勢崎市の処理場の設備は11月30日、グリーン電力認証機構によって設備認定された。これにより、環境価値分をグリーン電力証書として販売できるようになったという。グリーン電力証書とは、環境負荷を低減する価値を発電所と需要家で分け合う仕組みで、伊勢崎市の発電設備のグリーン電力証書を買った企業は、この設備で一緒にCO2を削減していることになる。さらに、特定の商品に使い「この商品を製造した電気は伊勢崎市のバイオマス発電でまかなっています」と表記できる。
 実は消化ガスによるMGTは、補助金を利用してもまだ収支がトントンというのが実情。そこで、環境価値を第三者と共有することで、事業の採算性を向上させようという。もちろん伊勢崎市の側でも、PRにもなるということで、このシステムを積極的に採用した。
 明電舎のバイオマスシステムは、MGTだけではない。もみ殻発電システムや畜産環境システム、ロータリーエンジンによる木質バイオマスガス化発電など、多彩だ。
 明電舎の得意な分野は、発電そのものよりも、全体を制御するシステムだという。太陽光発電や風力発電などさまざまな電源をつなぎ、マイクログリッドなどの技術を用いて地域のエネルギーを提供できるようになれば、自然エネルギー導入はさらに拡大することが見込まれる。京都議定書時代、トータルソリューションを提供できる企業が、新たなビジネスチャンスをつかむ、そう考えているという。

企画・連載
・議定書時代の新ビジネス
・分散型エネルギーの最前線
・建築計画・設計ニュース
・分散型発電実務用語の栞

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空