2005年125日号

IPEX2005とコージェネシンポ閉幕
 分散型エネルギーシステムを一堂に集めた総合展示会「IPEX2005」と、日本コージェネレーションセンター主催の「コージェネレーションシンポジウム」が11月30日、12月1、2日の3日間、千葉市の幕張メッセで開催され、多くの参加者でにぎわった。
 IPEXには川崎重工業や三菱重工業、日立造船など国内、海外のメーカーやエネルギーサービス事業者、団体など31社が出展した。ガスエンジンやガスタービンコージェネシステム、また排ガス分析装置などのシステム周辺装置が展示されたほか、省エネルギー提案サービスについてのパネル紹介などが行われた。また、ドイツのコンサルティング会社が同国での再生可能エネルギー利用技術について紹介、来場者の関心を集めた。
 同時開催のコージェネシンポジウムでは、恒例の「日本コージェネレーションセンター賞」の事例発表が行われ、会長賞に輝いたキヤノン下丸子の集中型エネルギーセンター方式による電力供給を採用したコージェネなどを紹介。また、浅野浩志・東京大学大学院教授がホロニックエネルギーシステムについて講演、大規模集中電源と分散型電源を調和させ、補完し合うエネルギー供給システムについて説明した。
 そのほか、東京ガスによる家庭用燃料電池や大阪ガスのマイクロコージェネによる家庭・業務用向けの環境性を意識した商品開発や、川崎重工業明石工場に導入されている2万kW級、7千kW級ガスタービンコージェネ設備の高効率・経済性向上を目指した運転事例などが紹介され、参加者は熱心に耳を傾けた。

新日石が灯油型燃料電池をモニター販売へ
 新日本石油は11月30日、灯油燃料の家庭用燃料電池システム「エネオス エコボーイ」を、来年3月20日からレンタル方式で市場投入すると発表した。06年度は関東圏1都10県と北海道、東北、北陸の主要都市で戸建て住宅を対象に100台の設置を計画している。灯油燃料の家庭用燃料電池の商品化は世界初。
 新日石はすでに今年3月、LPG燃料の家庭用燃料電池を商品化している。今回、灯油燃料タイプの商品化で冬季の気温が零度以下になる寒冷地での利用も可能となり、家庭用燃料電池の全国展開を図ることができる。
 システムは荏原バラードとの共同開発。出力は950Wで、発電効率は35%。容量200リットルの貯湯槽を装備している。
 燃料の灯油は新日石製の専用灯油を使う。利用者は年間6万円で3年間、フルメンテナンスを前提とした「エネオスエコ契約」を結び運転データなどを提供する。電気代の低減分などで、家庭での実質的な負担はゼロになるという。
 今回、市場投入する燃料電池は気温が−10度Cまででの運転が可能だが、今後はさらに低温下でも使用できる燃料電池を開発する。


大ガスと京セラが家庭用SOFC試作機を開発
 大阪ガスと京セラは1kW級家庭用固体酸化物型燃料電池(SOFC)の試作機を開発、国内で初めて実住居での運転試験を開始した。すでに試作機レベルで系統電力の需要端より高い発電効率45%を実現しており、今後は運転試験の成果を商用機開発につなげ、08年度中の市場投入を目指す。
 家庭用燃料電池について技術的に先行する固体高分子型(PEFC)の導入が約400台、今年度からモニター試験といった形で始まっているが、SOFCは発電効率が45%とPEFCより10%程度高いことから、両社は1kW級SOFCを電力需要が多く、熱需要の少ない家庭向けと位置付け、商用機開発を進める。
 またSOFCは作動温度が約750度Cと高温で、貯湯槽もコンパクトにできるため、マンション向けコージェネとしての利用も検討する。
 両社は、昨年4月から共同研究を開始し、京セラが機器開発を、大ガスが主に評価を行ってきた。京セラシステムの特長は直流の発電電圧が140Vと高いため、交流への変換ロスが少ないこと、また補機が少なく、補機の消費電力も少なくて済むというのも特長。この結果、AC送電端において45%という高い発電効率が実現できる。

Fエスコが1万kWのバイオマス発電所、1月運開へ
 ファーストエスコは11月24日、木質チップを利用したバイオマス発電所1号基「岩国ウッドパワー」の商業運転を来年1月1日から開始すると発表した。1万kW級の商業用発電所としては国内で初めて。
 発電電力は構内で使用する分を除き全量、関西地区に供給する。
 循環流動層ボイラーを採用し、発電効率は約29%と木質バイオマス専焼設備では高い水準。04年に着工し、今年9月からは試運転を開始していた。
 燃料となる木質バイマスは年間約9万トン使用する。業務提携している日本樹木リサイクル協会(大阪市)の加盟社である飯森木材(宇部市)から長期的に購入する。
 10月にはRPS法上の設備認定を受けており、RPS電力として事業運営を図る。
 また、バイオマス発電所の運転開始に合わせ、グリーンエナジー事業の一環として「グリーン・フューエル・イニシアティブ(GFI)」構想を策定、バイオマス燃料の製造分野に参入し、燃料の確保から、開発、供給分野に進出し事業化する。
 来年早々には固形燃料ビジネスとして「木炭製造」、液体燃料として「海外バイオマス」、気体燃料として「メタン発酵」といったビジネスを具体化させる。

リンナイが、スターリングエンジンコージェネを開発へ
 リンナイはオランダ・エナテック社、米・インフィニア社と共同で、スターリングエンジンを搭載した1kW級家庭用ガスエンジンコージェネの開発に乗り出した。
 貯湯槽を持たず、給湯が必要な時にのみ発電するシステムを実用化する。
 年間を通じて給湯需要が多い欧州向けをまず商品化し、07年度の市場投入を目指す。暖房需要が年間4カ月程度と少ない日本市場向けの開発は、最終商品化に向けたコンセプトを今後固めていく。
 すでに今年に入って試作機の実証試験を同社技術センターで始めており、商品化されれば世界で初めての家庭用スターリングエンジンコージェネとなる。
 リンナイが開発するスターリングエンジンコージェネは、エコウイルのように貯湯槽を持たず、ガス瞬間式給湯暖房機を組み合わせ、お湯が必要な時に発電するシステムとする。家庭での電力需要に応じた運転とはならないが、90%以上と高い総合効率を実現できる。
 スターリングエンジンコージェネのベンチャー・エナテック社を通じて欧州市場に、冷却装置開発のインフィニア社を通じて北・南米市場に売り込み、07〜08年で年間5万台の販売を目指す。
 スターリングエンジンは外燃機関のためCO2とNOXの発生が少なく環境負荷が少ない。このためリンナイは02年から英・BGグループとスターリングエンジンの共同開発を進めていたが、商品化で意見が合わず中断していた。


環境省がCO2排出量算定基準案を公表
 環境省は、4月から新たに導入されるCO2などの地球温暖化効果ガスの排出量の算定・報告・公表制度実施のための政省令の改定案をまとめた。今月12日までのパブリックコメントの手続きを経て正式に定める。
 改定案は、京都議定書発効に伴って改定された温対法に基づいて温暖化ガスの排出量を正確に把握することを目的に制度化されるもの。エネルギー起源のCO2排出量については温対法の基準に基づいて、省エネ法の届出手続きの中で行われることになっている。
 エネルギー起源の対象となるのは、省エネ法の第1種と第2種のエネルギー管理指定工場と特定貨物輸送事業者、特定荷主、特定輸送事業者及び特定航空輸送事業者。燃料の使用に伴う排出量、購入した電気や熱の使用に伴う排出量を合算した排出量を届け出る。
 燃料の使用に伴う排出係数は石炭や石油製品などの種類毎に、原油は0.0187(単位トンC/GJ=以下同)、A重油は0.0139、灯油0.0185、都市ガス0.0138、液化天然ガス0.0135、石油系炭化水素ガス0.0142など21種類の基準が設けられている。
 また購入する電気の排出係数は一般電気事業者が0.000391(単位トンCO2/kWh)、その他電気が0.000558(同)、購入する熱は産業用蒸気が0.0601(トンCO2/GJ)、その他の温水・冷水・蒸気が0.0568(同)。CO2排出量の算定は、燃料使用の場合は使用量に単位発熱量と単位発熱量当たりの炭素排出量を掛け合わせたものに12分の44を掛け合わせて算出。購入電気と熱は使用量と単位排出量を乗じる。
 CO2以外の温室効果ガスとしてメタン、N2O、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、6フッ化硫黄の基準も設けられている。


その他のニュース
・大阪で5月に電設工業展
・風力国際シンポ横浜で
・名古屋市が新エネ導入を促進
・NEDOが太陽光実証165件を決定
・エネ使用合理化は68件
  etc.

連載
・議定書時代の新ビジネス
・地域熱供給事業の最新事情
・分散型エネルギーの最前線
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空


 
新エネ電力を使いやすくする【発電論評】
 法施行後、3年目を迎えているRPS法の見直し検証作業が始まって、課題が顕在化している。
 RPS法は、電力会社が販売する電力の一定割合を新エネ電力とすることを義務づけ、それによって新エネルギーの利用拡大を担保することを目的に制定された。制定時には特に新エネルギー関係業界からは、新エネ利用に弾みがつくものと期待され、歓迎された。しかし、RPS法は、新エネの急速な拡大にブレーキをかける働きをしたとする見方が、特に新エネ関係者の間では定説となっている。
 その最大の要因は、各電力事業者に割り当てられた義務量が激変緩和を目的に低い水準で調整されていることが挙げられている。その結果、新エネ電力の買い取り価格が低く抑えられ、新エネ開発意欲を薄れさせるという結果を招いている。特に、間伐材などの利用が森林整備を促進するという木質バイオマスの利用分野などでは、電力買い取り価格が低迷する中で事業採算性の観点から発電利用が断念されるケースが多く見られるといわれる。また、風力発電も系統連系量の制約から開発が制限されていることが問題となっている。電力事業者が義務量達成に余裕があり、新エネルギー受け入れのための設備投資には消極的になっているからである。
 電力事業者にとっても、電力料金が引き下げ競争が続く環境下で、コストアップの要因はなるべく排除したいという事情もあり、義務量の拡大には反対する立場である。
 こうした中で、RPS法の見直しが開始されているわけであるが、義務量の拡大よりも、最終需要家による新エネ電力の利用拡大の枠組みを創るべきではないかという考えが提案されていて、注目されている。
 風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーを利用したいという一般家庭を含めた最終需要家は多い。こうした需要家に新エネルギー電力を直接販売する仕組みを制度化すればどうかという考えだ。
 グリーン証書など、既に民間で実施されているものもあるが、できれば、もっと直接的に新エネルギーを使っていることが実感できるものが望ましい。例えば、新エネ事業者や電力会社などと新エネ電力購入契約を結ぶことができればよい。電力会社は新エネ電力を一般電力と切り離した別メニューで販売すれば、コストアップ問題は回避できる。また、新エネ電力を購入した需要家には、環境エネルギー利用者として、例えば「環境戻し税」として、割高な料金分を補填すれば、新エネ電力の販売にもっと力が入るのではないか。
 義務としての強制するよりも、良いものをたくさん使えるという環境をどのようにして作り出すか、RPS法の見直しには欠かせない視点だと思われる。